コーオプ教育

コーオプ実習報告会

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、電気電子工学科の天野です。

先日、コーオプ実習成果報告会を開催しました。電気電子工学科では3年次前期にコーオプ実習として企業での約8週間の就業体験を行っています。この報告会は同じ時期に実習を行った応用科学科とともに、ポスター発表形式でその成果を報告する場です。

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コーオプ実習(トライアル)の事例発表会と47社の企業の皆さんとの交流会

| 投稿者: tut_staff

コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

今日は夏休み期間に実施したコーオプ実習に関する事例発表会と交流会について報告します。

工学部の学生ではありませんが、コンピュータサイエンス学部とメディア学部の23年生、20名が12社に分かれて8月上旬から9月中旬にかけて1週間から4週間程度のコーオプ実習を経験しました。

そのうち、医療系のIT企業1社(医療系のパッケージシステムの研究開発、販売)、モノづくり系企業2社(自動車用金属加工部品や医療・介護機器製作、ロボット等の試作、量産設計・製作・販売)で実習をした学生とそれぞれの企業代表者が、コーオプ実習から得られた成果や学び、企業からは実習生に対する評価や今後への期待などを発表して頂きました。

当日雨で心配しましたが結局、申し込まれた企業の大部分、計47社に参加頂け、写真の通り、第1部の事例発表会、第2部の交流会とも大変盛況なものとなりました。

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事例発表会では、学生からは、プロジェクトを任されたものの計画通りにいかず苦労したが最後は期限を守ってやり遂げたこと、周りの社員とのコミュニケーションでのエピソードや大学で学んだことが現場で意外と役立つことなど視野が広がったことなどが色々述べられ非常に奥の深い内容でした。学生達は当初、初めて企業で本格的に働くということで不安もあり、さぞ大変だったと想像しますが、無事乗り越えてくれたようです。今回は試行ということで事前教育も2コマ(3時間)だけでしたが、それでもこのようにしっかり成果を出してくれて本当にうれしかったです。本番の工学部の学生は1年もかけて事前教育を受けた後に企業に派遣されますので、さぞ立派な成果を出してくれるのかな~と思いました。

企業側からもコーオプ実習で来た学生が非常に頑張って成果を出してくれたこと、今後とも本学のコーオプ教育への取り組みに期待しているなどのエールが送られました。とにかく会場に来られた企業はこれからコーオプ実習の学生を受け入れようとしている企業や受入を検討中の企業の方ばかりでしたが、『百聞は一見に如かず』の通り、終了後に回収したアンケート結果を見ても非常にコーオプ実習への理解が深まったとのこと、今後ますますコーオプ実習の受入企業も増加するのではないかと期待せずにはいられません。

交流会では、写真の様に工学部の先生方が積極的に企業の方々と話をさせて頂き、非常に盛り上がっている様子でした。企業の方のご意見では、次回はもっと学生を呼んでほしいとのこと、是非今後は工学部の学生もできるだけ呼んで、学生に企業の方とお話しできる良い機会となればと感じました。また、企業の方にもこの様に学生とざっくばらんに接する機会はほとんど無いと思いますので新鮮なものになるのでははないでしょうか。

今回初めての試みでしたが、ひとまず無事終わりホッとしました(^_^)

コーオプ教育試行の思い出

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、電気電子工学科の天野です。

先日、工学部におけるコーオプ教育の取り組みが「大学教育再生加速プログラム(AP)」に採択されました。

この知らせを聞いて、初期の取り組みとそれに参加した3名の学生のことを思い出しました。

同時に、これまで電気電子工学科ブログでは、コーオプ関連の記事はすべてコーオプ担当の笹岡先生による記事だと思い至りました。それは当然のことなのですが、ここはあえて違う視点からの記事もあれば面白いのではないか、というわけでこの記事を書き始めました。

笹岡先生ならびにその前任の小川先生のご尽力で、これまで私は合計で16名、7社でのコーオプ教育の試行に関わることができました。

その中でも最初のコーオプ教育の試行への参加は、工学部以前、私がメディア学部に所属していた2012年のことです。株式会社JVCケンウッド様からの依頼に基づいてandroidアプリを開発しました。当時、私のプロジェクト演習(自由参加型のサークル活動のような演習。藤澤先生とともにスマートフォンアプリ開発に関する内容を扱っていました)に参加していた3名の学生がこれに取り組み、後に初期の試行の一つとなりました。

この3名の学生は更に2013年に株式会社シーガル様で、今度はマニュアル作成の内容でコーオプ教育の試行に取り組みました。更に1名は株式会社エイビット様でのコーオプ教育の試行にも参加しました。

彼らにはコーオプ試行以前に演習を通じて教育を行い、それから世に出すという意味でもこれから本番を迎えるコーオプ教育にかなり近い形での試行でした。しかも3名ともその後、私の卒研室に入りましたので、卒業するまでその成果を直接、見守ることができたという点で、教育機会としても恵まれました。

コーオプ教育を通じてスキルだけでなく様々な面で鍛え上げられ、3名とも早期かつ自身の志望度の最も高かった企業から内定を得て、この3月に卒業しました。就職活動で彼らが高く評価された一因は、彼らが単なる技術スキルだけでなく、コーオプ教育を通じて「仕事」を理解していたことによると考えます。

彼らの活躍を通じて得られた知見を、今度は電気電子工学科の学生へ展開し、広く多くの学生によい経験を通じた学びの場を提供することが次の課題です。

WACA(世界産学連携教育協会)の世界大会からの報告

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、 コーオプコーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

今日はコーオプ教育に関する世界的な会議に出席した報告です。

コーオプ教育に関する世界的組織としてWACE(World Conference on Cooperative & Work-Integrated Education:世界産学連携教育協会)というのがありますが、8月19日~21日までの3日間京都産業大学において、その世界大会が開催され、私も初日だけですが出席してきました。

最初の基調講演では、「企業が求める人材と大学教育への期待」ということで山本忠人氏(富士ゼロックス株式会社 代表取締役会長)が講演されました。講演では、同社でも入社3年以内にミスマッチにより退職する社員が約3割いるが、なんと一人当たり約2500万円程度の教育費の損失とのこと、また、最近、企業で必要とされる能力は、チームワーク、誠実さ、課題解決力とのことでした。人材育成では、VFP(Visiting Fellowship Program)を紹介し、海外からも有給のインターンシップを受入れており、当初は中国を想定していたが最近はシンガポール、インドにも拡大しているとのことでした。また、インターンシップを通じて採用した社員の離職率は低い上、パフォーマンスも高いと言えるとのことであった。これらのことから、同社のコーオプ教育に寄せる期待の高さが伺われました。さらに興味深かったのは、同社に来たインターンシップの学生にアンケートしたところ、当然仕事に関する理解が深まったことが1位でしたが、2位が「自分に必要な能力が分かった」(23%)ことと、即ち「気付き」を得たことを上げていたとのことでした。学生は意外と自分の能力を客観的に確認したいのかもしれません。

次に、分科会で「インターンシップ中のソーシャルネットワークの活用@ミシガン大学」に関する議論に参加しましたが、インターンシップ中の学生のパフォーマンスには、企業からのスーパーバイザーに加え、大学によるメンターによる学生のフォローが極めて重要であるとの報告がありました。具体的なメンターの役割について質問したところ、学生の生活面の相談役で、企業側の方に直接言いにくいことが相談できるなどとの説明でしたので、本学でも同じ会社でコーオプ実習を受け入た先輩が後輩のメンターになることも検討できるのではないかと思いました。

午後からのジャパンプログラムでは、「企業・学生・大学から見た長期インターンシップの成果と課題」というテーマに参加し、最近実施された新潟大学と京都産業大学における長期・有給のインターンシップの成果を聴きました。会場は200人程度と大盛況であり、本テーマへの関心の高さが伺われました。発表者は、大学の先生、受入企業の担当者、実際に参加した学生たちでした。

新潟大学の取組は、3週間(長期休暇中)の無給のインターンシップの後、学期中に3か月、週2日の有給のインターンシップを実施したとの報告でした。ただ、学生から一定の自信が得られたとの報告であったが、総じて期間が短く(時間が足りなくて)、学生も企業側も消化不良気味な印象であった。また、8名の学生に対し同数の教員が関与しており、今後規模を拡大するにはコスト・パフォーマンスの問題があるとのことでした。

京都産業大学も13名が4カ月にわたって4社で有給のインターンシップ(週3日労働、週1日座学、八月に5日間の集中研修)を行ったとのことでした。最初の2名は「長期」という観点から、①仕事は(学生の能力では)難しいという理解が深まった、②仕事のできる人のイメージが分かった(基礎的な知識が完璧で、臨機応変に対応でき、仕事をうまく振り分けられる人)こと、後の2名は「有給」という観点から、③目標達成を達成すること(そのためにはメンバーとのコミュニケーションが大事)、④貢献することの難しさ(仕事には納期があり無限に時間は使えない、報連相が大事であること)を学べたことが成果であったと報告しました。非常に素晴らしい学生たちの中身の濃いプレゼンテーションだったと思いました。

全体の感想ですが、今回コーオプ教育に関し世界的な情報交換ができた意義が大きかったことは当然ですが、コーオプ教育の費用対効果の問題を今後どうするかが日本の大学の重要な課題ではないかとの印象を強く受けました。日本からの事例紹介を聴いていると各大学とも学生数に対して相当数の教員を投入しており、今後コーオププログラムの一層の拡大を図ろうとすると、これまでのやり方では対応しきれないのではないかと印象でした。

如何に合理的なコストと手間でコーオプ教育を実施するか、まさに本学工学部の取組はその試金石であると思った次第です。

コーオプ実習の事前学習の一例

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、 コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

本日は今夏にトライアル(試行)でコーオプ実習に行くコンピュータサイエンス学部及びメディア学部の学生、約20名に対して行った事前学習のことについて非常に興味深かったので、その全ては無理ですがその一部を書かせて頂きます。

まず最初に、講師の方が学生に12秒間与えて周りの出来るだけ多くの人と握手してくださいと指示しました。1回目は皆さん58人の方と握手できたようでした。次に前回よりも多くの人と握手するとの明確な目標を与えて同じことを行いました。一人を除いて全員が前回よりも多くの人と握手できました。これから分かることは非常に明快で「明確な目標を持ちそれを意識して行動すれば、目標が無い時よりもパフォーマンスは上がる」ということです。だから、今夏のコーオプ実習でも全ての学生に一定の目標を持たせるようにしましたし、本番では言わずもがなです。

次に興味深かったことはコミュニケーション部分、特に「言葉よりも非言語のコミュニケーションが基礎として大事である」ということでした。講師の方は、ペアーを組ませて、一人が自己紹介をし、最初他方にそれをひたすら無視し続ける様に指示しました。次は相槌を打つ(頷く)ように指示しました。その違いは歴然でした。人間は本能的に何気ない仕草に敏感で、人の印象を決めていることがよくわかりました。確かに私も複数の人に説明していて、その中に頷いている人がいれば、ついその人を見て話してしまいます。どんなに話すことが上手くても、人な話を上手く聴けない人はコミュニケーションはとれませんよね。納得でした。

最後は仕事への意識です。講師の方が全員に落としても支障がないもの(消しゴムやハンカチ、ペンケースなど)を持たし自分も入って輪を作らせました。全員が右手にそれを持ち、次に、隣の人に渡しながらそれらを同時に回していくというゲームのような作業をさせました。最初に全員が持っているものは実は「仕事」を表しています。輪の中を全部の「仕事」を同時に回していくことは簡単でしたが、講師の方が「仕事」を溜めて一度に3つくらいを隣の人に渡すとその人は「仕事」を一つ落としてしまいました。また、講師自身が意図的に「仕事」を落としたりもしました。暫くして作業を止めて、講師が「今「仕事」を持っていない人は誰?」と訊くと、5人くらいが手を上げました。全体の中でたった一人がさぼったり、不誠実なだけで「仕事」の流れが乱れて無駄が出る(仕事も持たない人)ことが一目瞭然でした。出席者全員が仕事に対する意識、特に責任感の重要性を実感できた気がします。

今回はトライアルですのでこれらを1コマ(90分)と相当早足で行いましたが、工学部の本番ではもっと丁寧にやることになります。「このような事前学習を受けた学生であればどの企業でコーオプ実習を行っても大丈夫そうだな」とちょっと安心した次第です。

モノのインターネット ( IOT : Internet of Things )

| 投稿者: tut_staff

皆さんコーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

私は専門に情報セキュリティが含まれていることもあり、毎年5月にビックサイト(お台場)で開催される「JAPAN IT Week」のセキュリティEXPOに行っています。その際、いつも講演を聴くとことにしているのですが、今年は時間が合わず、情報セキュリティではなくIoTInternet of Things)の話を聴きました。インテル社副社長のジョナサン・バロン氏の話でしたが、会場は立ち見もでる大盛況でした。おそらく、今話題のホットなテーマだったのだと思いますし、私も聴いていてなるほどなぁと思いましたので是非ご紹介したいと思います。

まず、既存のシステムの85%が現在ネットワークと未接続で、機器相互またはクラウドとデータを共有していませんが、今後は2020年までにインターネットに接続できるデバイスの数が、2015年予想の150億台を大幅に超えて500億台まで増え、その多くが、PCやスマートフォン、タブレットといった「人が使うデバイス」ではなく、自動車、鉄道などの輸送機械や自動販売機、工場設置機器、医療機器などであるとのことでした。

私が目から鱗だったのが、メトカーフの法則(モノがネットワークにつながること自体でそのモノの価値が上がる)で、つまり「多くのデバイスをネットワークに接続することで、企業はデータを収集でき、その結果、新しいビジネスの展開が可能になる」とのことでした。

例えば鉄道の分野です。運転手の運転経験(技量)によって運行による燃費がかなり異なるそうです。同社は新米の運転手にIPadを持たせてブレーキやスピードの出し方を指示したところ、先輩の運転手に勝る燃費を実現できたそうです。実際、日立は最近鉄道分野で英国をはじめ大型案件の受注に成功していますが、そのようなIT技術が評価されているとのことです。同様に、IoTによって食料の無駄(廃棄)を減らしたり、ヘルスケア分野では再入院回数を減らして医療費の削減に役立だったり、確かにIoTが新しいビジネス展開を可能としているとのことでした。同様に工場やプラントなどの制御システムもこれまでは独自仕様のためネットワークと必ずしも繋がっていなかったのですが、最近は汎用PCが制御系システムにも導入さるようになり、ネットワークに組み込まれることが多くなっています。まさに、IoTが今ものすごい勢いで進展しているようです。

このようにIoTの進展はあらゆる製品やサービスの無駄を削減しますのでサステイナブル工学を学ぶ工学部皆さんにも是非関心をもって頂きたいところであると同時に、コーオプ演習Ⅰの取組課題としても十分意識してほしいと思った次第です。

コーポレートガバナンスとサステイナブル工学??

| 投稿者: tut_staff

コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

皆さん、最近ニュースで東芝の不正会計処理問題が大きく取り上げられていますが、どのように感じられていますか?新聞では内部統制がなってなかった、経営者の行き過ぎた利益至上主義などと報じられています。東芝は日本を代表する企業ですし、経団連のトップも出す名門ですがこのような事件を起こし、同社だけでなく日本の企業自体のコーポレートガバナンスに対し世界中から疑いの目が向けられるようになったような気がして私としても残念でなりません。折しも、今年の6月から日本証券取引所(JPX)が全ての上場企業を対象に「コーポレートガバナンスコード」を策定・導入したばかりでしたのでなおさらでした。ところで、皆さん、「コーポレートガバナンスコード」って、ご存じだったでしょうか。丁度良い機会ですのでちょっと解説しましょう。

「コーポレートガバナンスコード」とは、会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みです。これに照らせば、東芝の経営陣が行った今回の不正会計処理は、株価を大きく下げて株主は損失を蒙りましたし、「透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」とはほど遠いものだったといえます。

もう少しこれを掘り下げてみますと、同コードは以下の五原則から成っています。

1.株主の権利・平等性の確保 ここでは大株主やプロの機関投資家だけでなく、少数株主(個人株主)や外国人株主についても十分に配慮を行うべきことも書かれています。

2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働 株主以外のステークホルダー(利害関係者)とは、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会のことです。また、その中ではさらに、上場会社は社会・環境問題をはじめとするサステナビリティー(持続可能性)を巡る課題について、適切な対応を行うべきであることも定められています。これは、もちろん、今後ますますサステイナブル工学は重要になるということですね。

3.適切な情報開示と透明性の確保 上場企業は、1)会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、2)経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について法令に基づく開示を適切に行わなければなりませんが、東芝の今回の問題はこの基本原則に反したことになります。

4.取締役会等の責務 特に重要なのは、独立社外取締役です。少なくとも独立社外取締役2名以上が選任され,業務執行とは一定の距離を置き,独立した客観的な立場から経営陣に対し実効性の高い監督(モニタリング)を行う役割・責務を果たすべきであるとの原則が提示されています。彼らはには、今回の東芝の事案のように生え抜きの経営陣が暴走するのを抑える役割が期待されます。

5.株主との対話 これにより、最近、上場企業は資本を如何に効率的に活用して利益を稼いでいるかを示す指標である自己資本利益率(企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合:ROE)を8%以上にするとか、株主優待制度を設ける企業が増えてきました。これからの企業経営は株主、とりわけ株価を意識せざるを得なくなっています。

コーポレートガバナンスコードとサステイナブル工学が繋がっているとは意外だったのではないでしょうか。コーオプ実習では、期間も2か月と限定されてますし、実習中にコーポレートガバナンスコードを意識するようなことは無いかもしれませんが、サステイナブル工学の重要性は同コードの五原則の一つ【2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働】で明確に謳われていますので、工学部で学んだことは今後皆さんが就職した先において必ず役に立つことでしょう。その意味でコーポレートガバナンスコードの導入は、サステイナブル工学を学ぶ工学部の学生にはとても追い風ではないかと私には思えますが、如何でしょうか?

製造業のグローバル化 国内工場と海外工場の役割分担

| 投稿者: tut_staff

コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

コーオプ実習で肝になるのが、コミュニケーション力=雑談力という話を前々回のブログで行い、それではということで、社長が常日頃頭の中で考えていると思われること、即ち製造業の現状と将来について具体的な統計データを織り交ぜながら解説しました。さて、新しくできた工学部の3つの特色をご存知でしょうか?①サステイナブル工学、②コーオプ教育、③世界に通用するエンジニア(グローバル化への対応)です。①②はこれまでの私のブログでも触れましたが、③についてはまだでしたので、今回は製造業のグローバル化、特に最近の国内回帰傾向などについてちょっと解説してみたいと思います。

経済産業省が2014年末に実施したアンケート結果(上場している製造業740社対象)によると、そのうち約7割の企業は、海外拠点への移転の決定要因として、海外市場の拡大を挙げています。つまり、マーケットの近くで生産した方が有利と考えたということでしょうか、当然と言えば当然です。

製造業のグローバル化は、昭和60年頃から、プラザ合意による急速な円高の進展により国内で製造するよりも安いという理由で、とりわけ中国、東南アジアをはじめとする新興国への工場移転が進みました。その際海外工場と国内工場の役割分担は、より安く製造しないといけない量産組立品は労働コストの安価な海外工場で製造し、価格の高い高級品は国内工場で製造するというものでした。

そうこうしているうちに、新興国の労働コストも上がってきました。それでも、今度は新興国が経済成長と共に市場として成長し、海外工場から直接現地(海外)市場に製品が売れるようになり、海外工場の位置づけも単なる日本向けの輸出基地から現地市場向けの生産基地に変わったように思われます。そして、従来、国内工場の担当とされていた価格の高い高級品も、海外工場の技術レベルの向上と共にどんどん生産拠点が海外に移り、国内工場は益々縮小を余儀なくされました。

そこに最近のアベノミクスによる円高是正、円安の進行が起こり、国内生産拠点の位置づけが再度問われる事態となってきています。再び同アンケートを見ると、約13%の企業(約100/740社)が国内に生産拠点を戻したと回答しています。業種別にみると、電機機械、一般機械、自動車部品などが多いようですが、国内生産に戻した理由としては、i) 品質や納期など、海外でのものづくり面での課題があったⅱ) 円高是正で、日本国内で生産しても採算が確保できるようになったⅲ) 人件費高騰などにより、海外の生産コストが上昇したの3点が多く挙げられていますが、必ずしも円安だけが理由ではないようです。

さらに、【国内生産拠点の位置づけ】を見てみると、約700社の6割以上が国内生産拠点を「海外拠点との差異化を図るための拠点」と回答しています。具体的には、ⅰ)新しい技術や製品など新たな価値創造を生み出す「イノベーション拠点」ⅱ)海外へ移管する生産技術や海外工場のバックアップを担う「マザー工場」ⅲ)多品種少量生産や短期生産などに柔軟に対応できる「フレキシブル工場」が多く挙げらていますが、これが現在の製造業の社長さんが国内生産拠点に関して頭の中で考えていることのようです。

最後にまとめますと、最近の生産拠点の国内回帰傾向は(円安はきっかけにはなったかもしれないが)円安だけが理由ではなく、海外工場の納期や品質へのもともとの不満や経済発展による円安以外の要因によるコストの上昇もあったためと考えられます。さらに、国内生産拠点の中でも、そこが「イノベーション拠点」、「マザー工場」、「フレキシブル工場」として役割を持っていれば、為替レートに左右されることなく今後も生き残れそうですね。皆さんが将来、就職で目指しそうな企業は国内工場をどのように位置付けているか、興味が出てきたのではないでしょうか?

皆さんが海外展開している製造業にコーオプ実習に行った時には、以上のような知見が雑談の役に立つことを期待しています。

職場で役に立つ時事ネタ 製造業のおはなし

| 投稿者: tut_staff

コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

コーオプ実習の胆(きも)はコミュニケーション能力です。そこで意外と大事なのが雑談力です。雑談力とは?と思うかもしれませんが、実は誰とでも雑談できるってすごいことなんですよ。それができる人は、多分敵を作ることがありませんし、そういう人は自分を中心にネットワークができ、自然に色々役に立つ情報も入ってきます。ただ、だれとでも雑談できるためには何が必要でしょうか?当たり前のことなのですが、一言でいえば『幅広い教養』ということに尽きます。関心は人それぞれ、それに合わせて話題についていけるかということになります。その意味で教養課程で取る人文社会系の科目も大事です。

コーオプ実習の場合も職場ですから、周りは目上の方ばかりと思われます。彼らは職場で日頃どんな話題で雑談しているでしょうか?普通は、新聞やニュースなどの時事ネタ(男性はスポーツもありかも・・・)が多いです。彼らの会話に自然に入っていければ、又は自分なりの持論を言えれば、コーオプ実習は大変有意義になります。そこで、今後のブログでは、順次、実習時に使えそうな教養的なお話を皆さんに紹介したいと思います。

今回は、工学部に関係が深い製造業のことを話します。まず、製造業の日本経済における位置付けですが、GDP(国内総生産)に占める割合は約2割です。その割合は、今ではサービス業よりも少し低くなりましたが、 他産業への波及効果が高く(製造業が潤えば他の産業も潤う度合いが大きい)、国内生産額(売上に相当)に占める割合は3割(サービス業は24%)を超えています。また、日本の製造業のGDP比率(約2割)は、米国、英国、フランス(約1割強)よりも高いものの、中国、韓国(約3割程度)やドイツ(約2割強)より低いというのが現状です。このように日本は欧米諸国と同様先進国ですが、ドイツと並び「ものづくり志向の強い国」と言えます。これは皆さんにはちょっと驚きかもしれません。ある意味、日本は先進国の中では、工学部の学生が就職し易い国とも考えられます。

また、最近の製造業の景気(即ち、企業収益や設備投資の動向)ですが、政府がものづくり企業を応援していることもあって改善傾向にあるようです。例えば、東証一部上場企業〈製造業〉の2014年度の見通しによれば、55.5%が増収増益です。さらに、設備投資額は、リーマンショック(200810月)により78.4兆円⇒59.9兆円と一時的に急減しましたが、2013年度には68.2兆円まで、201410-12月期は、年率換算で68.9兆円まで回復してきました。2014年の政府の成長戦略においても、「3年間でリーマンショック前の投資水準を回復」することを目標に掲げましたが、この調子でいけば容易に達成しそうですね。ということで、もし皆さんが今年卒業していれば、さぞ製造業に就職し易かったことでしょう。

さて、皆さんが就職活動に入る3年後はどうでしょうか?実は意外と為替レート(円安か、円高か)がキーになるかもしれません。というのも最近、製造業は、円安(1ドル80円前後⇒1ドル120円程度)のおかげか、生産の海外展開も一服し、国内回帰傾向が見られるようです。例えば、製造業の海外設備投資比率(全体投資の中の海外投資の割合)は、円高とリーマンショック以降の新興国(中国、ロシア、インド、ブラジル、東南アジアなど)ブームの中でのグローバル展開を背景に急拡大を続けてきましたが、近年は、さすがに30%前後で頭打ちとなっています。さらに、前年度比でみると、2011-13年度の実績では国内投資(数%の微増)に比べて海外投資が大きく増加(3050%の大幅増)していたのですが、直近の2014年度計画では国内投資は増加(14.6%増)する一方で海外投資は減少(―1.6%)しています。これは国内回帰に見えます。製造業の輸出も、2012年秋以降、金額(円ベース)及び数量ともに増加傾向で推移しています。ここまで来ると、さすがにアベノミクスによる円安効果では?と考えざるを得ませんよね。ただ、問題はこの円安が今後も続くでしょうか?という点でしょう。

最後にまとめましょう。日本はドイツと並び先進国では珍しく「ものづくり志向の強い国」です。そのためもあり、日本の製造業は、リーマンショック後は一時不振でしたが、政府の政策支援もあって持ち直してきました。現在はさらにアベノミクス、特に円安で生産の国内回帰も進み、現時点では工学部の皆さんの将来は明るそうです。でも今後はどうでしょうか?

これって実は、製造業、主に自動車や電機産業に関わる会社の社長さんが皆さん考えて(心配して)、自分なりの答えを模索していることなのです。皆さんも社長になったつもりで、コーオプ演習Ⅰ(1年後期)でグループワークしながら考えみては如何でしょうか。社長が一番飛びつく話題に自分の持論を持っていればコーオプ実習だけでなく、将来の就職活動に役立つことはもちろん、就職後も会社内で皆さんは重んじられると思います。さて、如何だったでしょうか。

夏のコーオプ実習トライアル

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

7月6日(月)、8日(水)、9日(木)と三日間、昼休みを使って、今夏のコーオプ実習のトライアル(試行)の学生募集を行う説明会を開催しました。工学部以外の八王子キャンパスの2,3年生が対象でした。コーオプ実習の期間は学生と企業が合意した8月5日から9月17日までの間の一定の期間(実働5日以上)です。実働5日以上としているのはインターンシップの単位が1単位あげられるからです。一昨年春休み以降これまで5回、延べ65名の学生がこのトライアルに参加し、希望した学生50名全員に成績を付けて単位をあげました。

それにしても驚きは説明会への参加者の数です。実は一昨年の冬にも同趣旨の説明会を行いましたが、参加者はたった5名でしたが、今回は三日間で計300名以上が参加し、その内100名以上が実際にトライアルに参加したいと手を挙げたのでマッチング面談することになりました。今夏の受入可能企業は十数社で、受入枠は大凡20名程度を想定していますから、意欲の高い学生の方々には申し訳なかったのですが、今夏のコーオプ実習のトライアルは非常に狭き門となってしまいました。一方、それだけ選りすぐられた学生が企業に派遣されますので、行かれた皆さんは、さぞ素晴らしい成果を出して大学に戻られると期待しています。

このようなことになったのは、今年から就活のスケジュールとシステムが変わり、就活でインターンシップの経験が重視されるようになったからのようです。それを受けて、大学からも学生の皆さんに出来るだけインターンシップに行くように勧められていますので、そのことが多分に影響していると思われます。特に、コーオプ実習は本学独自の取組であり、他大学の学生はほとんど経験できませんので、就活面接で面接官から必ず聞かれる「大学でどんなことをしたか」と尋ねられえた際の鉄板ネタ(他大学の学生が真似できない)として使えることは請け合いです。

こんな具合でコーオプ実習は世の中ですごい追い風に乗っているなぁと実感した次第です。でも、工学部の学生は後期から始まるコーオプ演習Ⅰ(グループワーク)、コーオプ企業論、その後のコーオプ演習Ⅱ(就業マナー、企業とのマッチング)さえ合格していれば、おそらく全員がコーオプ実習に行けますので、その鉄板ネタを労せず手にすることが出来る訳です。

コーオプ実習のある工学部の学生って、ひょっとしてお得?・・・と思うのは私だけでしょうか