[AI/IoT ブログ] 第9回:ビッグデータとセンサの多様化
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こんにちは。電気電子工学科の新海です。
AIやIoTの分野では、たびたびビッグデータが登場します。ビッグデータとは、以前のデータベースでは扱えないほど巨大で複雑なデータ群です。これをうまく使うと価値の高いアウトプット・サービスを生み出せるとされているわけです。
一般にビッグデータの収集には費用がかかります。良い結果が得られることがわかっていても、費用がかかり、コストパフォーマンスがよくないなら、やっぱりやめとこう、となるわけです。
例えば、農業でもビッグデータの活用が期待されています。気温や湿度、日射量はもちろん、風速・風向き、水質、土壌の栄養分濃度・水分濃度・温度、作物のいろいろ、と、限りなくデータを取りたくなります。
しかし、日本の農業は小規模農家が多いため、投資に踏み切れない面もあるようです。インフラ関係でも、大きな電力会社や自治体はよいのですが、小規模なところでは同じ悩みがあるようです。
ビッグデータの解析、保存・蓄積、通信など、たびたび話題になりますが、ビッグデータの基になるセンサやカメラなどの技術もとても重要です。ビッグデータを意識すると、安価・小型・頑丈・低消費電力なものが欲しくなります。精度は目的により要求レベルが異なるわけです。過剰スペックを求めてはいけません。
ビッグデータの活用を進めるために、センサの進化・多様化が必要です。目的に応じて、いろいろなものから選択できることが重要です。前置きが長くなってしまいましたが、その一例として、風向風速センサの研究を紹介したいと思います。このセンサは写真のような単なる棒です。
通常の風速センサは、風杯型(小型風車)や電熱線を使うもの、超音波を使うものなどあります。風杯型は大きく、熱線・超音波は高価で繊細です。この棒センサでは、ひずみゲージという、曲がると抵抗が変わる金属を張り込んで使っています。
風が強くなるほど棒のしなりが大きくなり、ひずみゲージの抵抗変化が大きくなることを使って風速を求めます。ひずみゲージを4枚使うと、わりと単純な回路で風向きも測定できます。棒をパイプにし、内面にひずみゲージを張ることで屋外でも使用できます。他の種類のセンサ(例えば温度)を棒に埋め込むこともできます。
今日はここまでにします。