つぶやき・気になること

東日本大震災

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、電気電子工学科の新海です。

今日は311日、東日本大震災から7年たちました。

18千人の方が尊い命を落とし、今でも7万人以上の方が避難生活を続けています。痛ましいの一言では片づけられない大きな大きなできごとです。

我々のインフラの脆さに気づかされた機会でもありました。地震や津波の直接的な被害がなかった近隣でも、計画停電で電車も止まり、スーパーやコンビニの陳列棚は空っぽに、ガソリンスタンドにはガソリンが無くなりました。

あたりまえと思っていたことは、決してあたりまえではなかったのですね。

そして、何重にも用意され鉄壁と思われていた福島第一原子力発電所の非常電源もすべて失われて、極めて重大な事故に至りました。その傷跡は未だ深刻な状況にあります。電力技術に関わる一人として責任の一端を感じています。

311日は、工学者・技術者として何をすべきか、自分を顧みる日と思っています。そして、みんなの力で世界中の人が幸せな未来を描けますように。

古くて新しいアナログ技術(その2)

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、電気電子工学科の新海です。

前回に続き、アナログ回路技術のお話です。

先日、電機メーカーの方とお話をしている時、社内のアナログ回路技術者が足りなくて困っているという話題が出ました。外注業者を使わざるを得ないので、アナログ回路設計が開発期間のネックになっている、とのことでした。大手の電機メーカーでもどこも似通った状況のようです。

1980年代からデジタル回路技術が爆発的に広がりました。あらゆるところでデジタルの集積回路が使われました。デジタルであるからこそ、膨大な集積回路の設計が可能になり、デジタル回路技術者も大量に養成され、アナログ回路技術者は減少しました。

しかし、最近は新たなアナログ回路技術の需要が急拡大しているようです。

理由は大きく2つあります。一つは、前回お話した半導体のスイッチング速度がどんどん上がり、伝送速度が大きくなっていること。最先端の性能を引き出すにはアナログ技術の知識も必要になってきました。

もう一つは、センサと無線を使ったセンサネットワークの需要が急増していること。スマートコミュニティなどのインフラ、医療機器、スマートホンなどの成長分野で特に増えています。センサは自然界とのインターフェースですから、必ずアナログ回路技術が必要になります。

アナログ回路技術を理解するには、電気回路や電磁気学、半導体物性など幅広い知識と、経験の積み重ねが必要です。一人前になるには長い時間が必要です。

比較的差別化しやすく、技術のコモディティ化を防ぎ、日本の技術力を発揮できる分野とも思います。できるだけ短期間で戦力になるエンジニアを養成するという視点も大事かもしれません。

いずれにしても、これからはアナログもデジタルも、そしてソフトウェアもわかるエンジニアが必要なのでしょう。

力をつければ、自分の腕一本で、一生涯フリーランスの技術者として稼いでいくことも可能になるかもしれません。

キャンパスのボウリング場

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、電気電子工学科の天野です。

金色のボウリングのピンが5本、私の教員室にあります。

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これらはとあるボウリング場で行われていた試合で優勝トロフィーとしてもらったものです。ピンの仕様としては本物です。
ボウリングのピンを間近で見たり触るような機会はあまりないと思いますが、ボウリングのピンは高さが38センチ、重量が1.6kgあります。一升瓶に近いですね。

ちなみにボールは直径22センチ, 重さはもっとも重たいものが16ポンド=7.25kgです。

私にとってのボウリングは30歳頃になにか運動を始めようと思い立ち、健康のために始めたものでした。無謀にもボウリング場で開催されていた試合(ボウリング場によっても、試合によっても違います。月一回とか、週一回とかいろいろな形式のものがありました)に出るようになりました。その中で、偶然にもとあるボウリング場のとある試合で優勝することが5回あったので5本のピンが並んでいます。

そんなボウリング好きだったので(?)、本学のボウリング部の顧問も担当しています。実は八王子キャンパスには学内にボウリング場があります。私の知る範囲では学内にボウリング場のある大学は国内に他にありません。

全般的に学生ボウリングは西日本の方が活発なようですが、本学のボウリング部もなかなか健闘を続けていますので、応援してもらえたら幸いです。

古くて新しいアナログ技術

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、新海です。

先日、ある計測器メーカーの方が、最新の測定器をもって話をしに来てくださいました。

GaNという新しい材料のパワーデバイスのスイッチング(ON/OFF)の測定デモを見せてくれました。なんと数ナノ秒の高速スイッチングです。従来のSiを使ったパワーデバイスとは桁違いです。

スイッチング速度が上がるとエネルギー損失が減るのでよいのですが、その際に高い周波数のノイズがたくさん発生するので、しっかり測定をして把握する必要があります。

しかし、ここまで速い現象になると、うまく測定できる装置や腕を持った技術者・研究者も少ないようです。うまく測るには電磁気学や回路理論の知識を総動員し、特にアナログ回路の経験がものを言います。

昔から、高周波や高電圧の技術分野では、アナログ的な難しい測定技術の腕をもった人たちがいました。あくまでそれは限られた分野の話でした。しかし、半導体の世界では一気に裾野が広がります。使われる場所や量が桁違いです。今後こういった技術をもった人の需要が高まるのでしょう。

ここ30年でデジタル回路技術は急成長してきましたが、ここへ来て再びアナログ回路技術の必要性が高まっています。みなさんもアナログ回路に挑戦してみませんか? 
半田コテを片手に持って。。。

ネパールの電力事情

| 投稿者: tut_staff

電気電子工学科の新海です。

ネパール大地震から5日目、15歳の少年が救出されました。よかったですね。

命を落とされた多くの方々のご冥福をお祈りします。

 

まずは人命優先ですが、電力などの社会インフラがどの程度ダメージを受けているかも気になるところです。

 

18年くらい前にネパールに行ったことがあります。夕食に行こうとホテルから町にでるとあたり一面真っ暗でびっくりしました。毎日、朝と夜、停電するとのことでした。外国人の泊まるホテルは小さなディーゼル発電機で照明だけはなんとか維持しているようでした。日本でも東日本大震災の後、東京電力の計画停電の時期がありましたが、ネパールでは日常的に電力が不足し、毎日計画停電が行われていました。この状況は18年たった今もあまり変わっていないようです。

 

ネパールの電力は9割以上を水力発電でまかなわれています。グリーン(再生可能)エネルギー比率が大変高い国です。ヒマラヤ山脈を背後に控え豊富な水資源がある国です。しかし、必ずしもネパール国民が望んだ結果ではないと思います。非常に貧しい国です。火力や原子力の燃料を輸入したり、設備を維持することが難しいんです。日本のODA(政府開発援助)などでも水力発電所を建設していますが、まだまだ足りないようです。

 

しかし、ネパールの商業ベースで可能な水力発電量は5300kWとのデータがあります。(東京電力の発電量に匹敵します)。それに対し2010年での発電量はわずか50kWです。99%が未開発ということです。電源開発が進み、隣接する工業大国インドに電力を送ることができれば、ネパールの人達の大きな力になるのではないでしょうか。時代がネパールの人達に追いついてきたということでしょうか。むろん、水力はグリーンエネルギーといっても、その開発は自然環境を損なう面もあり、注意は必要ですが。

 

こんなところでも、日本のサステイナブル技術がイニシアティブを取れるといいですね。

「照明」が伝えること

| 投稿者: tut_staff

電気電子工学科の天野です。

 

最近、教員室に戻るときに寂しさを感じなくなりました。

 

私の教員室のあるフロアは基本的に電気電子工学科教員が集まるフロアです。昨年の夏にそれまでのメディア学部の教員が移動しました。そのため、茂庭先生と天野の教員室だけが先行してこのフロアにあり、それ以外の教員はそれぞれ別の建物に教員室がある状態が半年間続いていたのです。

 

このため、このフロアはゴーストタウンさながら、多くの部屋がいつも真っ暗で人の気配の少ないフロアとなっていました。

 

先日、全教員の引っ越しが終わり、あちこちに照明の光が見えるようになりました! まさに新学部新学科が始まったんだぞ、という雰囲気があります。

 

照明自体は機械的なものですが、それが人の存在を伝えてくれる、というのは感傷的すぎでしょうが、技術者がついつい忘れがちな大切なことを示唆しているようでした。