半導体の国際学会ISSM2022でBeat Paper Awardを受賞しました
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今日は、電気電子工学科の高木です。
半導体分野でメジャーな国際学会International Symposium on Semiconductor Manufacturing (ISSM)2022が12月12、13日に両国のKFC Hallで開催されました。この学会で発表した”Optimization of RF frequencies in dual-frequency capacitively coupled plasma apparatus using genetic algorithm (GA) and plasma simulation”がBeat Paper Awardを受賞しました。
半導体を作るためのプロセスの中で、エッチングプロセスはデバイスの形状を形成します。最先端の半導体では、デバイス形状はナノオーダでコントロールする必要があり、プラズマを使ったエッチングが行われています。プロセスガスに電圧を加えることで、電子、イオン、原子、分子に分解されてプラズマとなり、これが半導体と反応して、エッチングが進みます。プロセスを安定かつ高精度に行うため、プラズマ状態の最適化が求められます。
こうしたプロセス用のプラズマは、一般的には実験による試行錯誤により最適化されます。しかしながら、実験には多くの時間とコストを必要とします。そこで、半導体装置のプラズマシミュレーションをモデル化し、これに最適化プログラムを組合せた方法を提案しました。
最適化には生物の進化を模擬して遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm GA)を使いました。生物は交配、突然変異、自然淘汰という3種類のプロセスで進化します。プラズマシミュレーションとGA組み合わせて、最適化条件を探索しました。具体的には、エッチングに適した条件を組み合わせる(交配)、これまで全く異なった条件を生成する(突然変異)、適していない条件は削除する(自然淘汰)という過程を通して、適正化条件と求めました。
今回の研究では、エッチングに必要とされる条件については、名古屋大学の低温プラズマ科学研究センターの関根 誠先生、蕭 世男先生に協力いただきました。また、計算については、卒研生 仲江川 竜弘さんに協力いただきました。皆様の協力に感謝いたします。