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2022年6月

2022年6月27日 (月)

[AI/IoT ブログ] 第5回: 遺伝的アルゴリズム(AI)を使った革新的な設計手法

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 今日は、電気電子工学科の高木です。

 皆さんは、700系の東海道新幹線を御存じでしょか? 鉄道ファンの間では「カモノハシ」と呼ばれているタイプで、今では多くの新幹線がこの形をしています。新幹線を高速化するための課題の一つが、トンネルに突入する時に発生する衝撃音で、これを小さくするための先頭形状が、精力的に研究されました。 

 開発に当たって使われたのが、AIArtificial Intelligence)の一つである遺伝的アルゴリズムです。遺伝的アルゴリズムは生命の進化をコンピュータの計算方法(アルゴリズム)に取り入れた方法です。生物は、オスとメスの交配、突然変異、淘汰といったことを繰り返し進化します。新幹線の突入音が小さくなるように、音が小さくなる形状を組み合わせる(交配)、音が大きくなる形状を排除する(淘汰)、これまでと異なる形状を導入する(突然変異)、を交互に繰り返して最適化形状を探していきました。こうして、設計されたのが700系の先頭形状、中心が細くなるそれまでの形状とは、まったく異なる形状になりました。

 高木研究室では、高効率モータの開発、高出力な半導体レーザ、加工速度の速い半導体プロセス装置の開発に、遺伝的アルゴリズムを活用しています。遺伝的アルゴリズムを使って3001000ケースの計算を行い、最適化形状(最も進化した形状)を2~3に絞り込み、試作して性能を評価しています。

 7月17日のオープンキャンパスでは、モータ効率を高める設計に遺伝的アルゴリズムを使った計算例と、実際に試作したモータを展示します。興味のある方は、是非、オープンキャンパスにお越し下さい。

 

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2022年6月14日 (火)

[AI/IoT ブログ] 第4回 : シミュレーションとAI

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こんにちは。電気電子工学科の新海です。

AIや機械学習というと、文章や文字(テキスト)、画像などを扱ったものが多いのですが、
いろいろな適用先に拡大しようという研究が少しずつ進んでいます。

コンピュータシミュレーションってわかるでしょうか?
力、熱、電磁界、流体、などなど、物理法則にのっとって、いろいろな物理現象を計算机上で再現するものです。
産業界でも、様々なシステムや機器の研究や開発になくてはならないものになっています。

このコンピュータシミュレーションをAIで手助けする研究をしています。
といっても活用法はいろいろあります。
“モノ”の形状を最適化する、というのが、もっとも成果をあげているAI的方法です。
最近始めたのは、AIでコンピュータシミュレーションの計算精度をよくする、もしくは計算時間を短縮するといった研究です。

コンピュータシミュレーションはとても役立つものですが、
大規模なもの、複雑なものを計算すると、膨大な時間がかかります。
例えば、何日も時間がかかために、いまひとつ活用できない(間に合わない!)ということもあります。

下の絵は、とある機械内部の流れの分布を示しています。
左側は計算精度のよい結果です。
右側は短時間で計算できるようにモデルを変更したものです。短時間になった代わりに計算精度を犠牲にしています。
AIに助けてもらい、右側の計算時間で、左側なみの計算結果を手に入れたい!という虫のいい話を考えているわけです。

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シミュレーション結果を機械学習させた優秀な学習モデルをつくっておけば、
実際シミュレーションしなくてもよい結果が予測できるということになります。
機械学習にはGNN(グラフニューラルネットワーク)を使っています。
と言ったって、そんなに簡単にいくわけないですよね。
挑戦中です。よい結果が出たらまたご紹介したいと思います。

ちなみに、この研究は共同研究で行っています。
分野の異なる方もいて、なかなかおもしろいです。

 

 

 

 

2022年6月 4日 (土)

6月12日 電気電子工学科の魅力をオープンキャンパスで紹介します

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 今日は、電気電子工学科の高木です。

 612日(日)に東京工科大学のオープンキャンパスが開催されます。工学部 電気電子工学科では、1年生で学ぶ実験、最新の研究活動、学科のプロジェクト活。動、について紹介します。高校生の皆さんの参加をお待ちしています。

 

 1年生で学ぶ実験では、1年生のカリキュラムに組み込まれている実際の実験を紹介します。光が持つ偏光という性質について実験を取り上げ、電気電子工学科で行われている実際の実験を体験できます。

 

 電気電子工学科では、10件の研究室があり、それぞれユニークな研究を行っています。今回は、バイオ計測工学と半導体デバイス開発に関する研究を展示・説明します。バイオ計測工学では、ヘルスケア・医療診断分野への応用を目指した先端エレクトロニクス研究を紹介します。半導体デバイスの研究では、微細加工技術に欠かすことのできないクリーンルームと、製作したデバイスを評価・解析するためのシールド・プローバーとパラメータアナライザを紹介します。

 

 電気電子工学科では、学科内でプロジェクト活動も活発に行っています。電気自動車を製作するEVプロジェクトと、AI/IoTプロジェクトについて展示・説明します。EVプロジェクトでは、機械工学科、応用化学科と連携し、電気自動車を製作し、学生フォーミュラへの参加を目指しています。現在、あらゆる産業分野で活用が始まっているAIIoTの技術を、電気電子工学に積極的に展開していくのがAI/IoTプロジェクトです。

 

 当日の展示説明は、教員と学生で行います。実際に入学して学んでいる学生から東京工科大学の授業や学生生活の「生の声」が聴けます。是非、参加して下さい。

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