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[AI/IoT ブログ] 第 9 回:計算知能の研究室

| 投稿者: tut_staff

こんにちは、電気電子工学科の黒川です。

前回も少し書きましたが、私の研究室では計算知能に関する研究を行っています。計算知能って聞き慣れない言葉ですが、最近流行りの人工知能のように少し賢いコンピュータを作るための技術のことを言います。

もう少し具体的に書くと、遺伝的アルゴリズムや遺伝的プログラミング、粒子群最適化などの進化計算アルゴリズムとニューラルネットワークをベースとした機械学習アルゴリズムをツールとして具体的な問題への適用を考えています。

例えば、数年前に最適な避難誘導看板配置を決める方法を提案しています。図のように、地図を決めて、マルチエージェントシミュレーションという手法で災害時の人流のシミュレーションを行いながら、遺伝的アルゴリズムを使って避難にかかる時間を短くする最適な看板の配置を求める試みです。

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他にも、かなり昔の話になりますが、遺伝子制御ネットワークという生き物の仕組みを表現したネットワークを推定する研究もしていました。これは一種のシステム推定の研究で、ニューラルネットワークを使います。

最近はマイクログリッドの運用や電気自動車の運用など社会システムの最適化に興味を持っていて研究室の学生と一緒に考えを膨らませているところです。おそらく近々お話しできるような成果も上がるんじゃないかと期待しています。

冗談のようなことを真面目にやっていたりもします。例えば、数年前には遺伝的プログラミングを用いたじゃんけんマシンを作りました。人間とじゃんけんをして勝てるプログラムを作るのは無理ですが、ある程度人間っぽさが現れるプログラムができました。統計的に人間っぽさを評価しているのですが、ただの乱数とは違った性質が見えてきます。

役に立たない研究…と言われることも多いのですが、ここには人間の意思決定の特性とか、乱数ってなんだろう?とか、計算知能は何ができて何ができないのかとか、好奇心をくすぐるネタがたくさんあります。論文はいろんな国の人がダウンロードしてくれているっぽいので、人間の知的好奇心には訴えかけているようです。

ただ、この研究、一つ欠点があって、じゃんけんをするときの手の入力にキーボードを使うので、人間らしいじゃんけんになってません。より自然なデータを取るためにカメラで人の手を撮ってじゃんけんの入力としてくれる機械を昨年作ってみました。実用に耐える精度にはもう少し改良が必要なので頑張っているところです。

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こんな感じであまり派手な研究はしてませんが、研究って、どんな分野やテーマだとしても、やってる本人が面白いと言うのが大事だなと思います。これを読んでくれた皆さんも、ぜひ自分の研究テーマを決めて研究を楽しんでみましょう。

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