プラズマ殺菌用大気圧ジェットプラズマのシミュレーション
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電気電子工学科の高木です。
エネルギー応用研究室では、安全安心で「人」のサステイナブルに貢献するプラズマ殺菌の研究を進めています。
プラズマというのは、空気などの気体に高電圧を印加して作られるイオンと電子の集団です。自然界に存在するプラズマとしては、北極近くの寒冷地で見られるオーロラが有名です。プラズマ中にはイオンと電子の他に、分子が分解されてできる活性種と呼ばれる原子も多数存在します。こうしたイオン、電子、活性種は、他の分子や原子との反応性が高く、これまでは半導体の表面を加工する装置として広く使われてきました。
最近では、生物や生体への適用が検討され、植物の発育促進、大腸菌などの殺菌への応用が検討されています。プラズマの生体応用への研究は活発に行われていますが、プラズマ自体の特性を測定・評価する研究は十分には進んでいません。とくに、そのシミュレーションについては、ほとんど報告例がありません。使われているプラズマが大気の高速な流れの中で生成されるジェットプラズマであるためです。
シミュレーションの分野では、基本方程式の頃なるシミュレーションを相互に関連付けて解くことを連成(または練成)と呼びますが、ジェットプラズマでは、プラズマ生成と気流解析を連成して解く必要があります。これに対して、PEGSUSソフトウエア(株)の御協力により、プラズマ生成のシミュレータ(PHM Plasma Hybrid Model)とガス流れの気流解析シミュレータNMEM(Neutral Fluid Momentum Equation Model)を提供いただけました。
PHMとNMEMに必要な計算条件パラメータを文献と測定で調べ、プラズマ発生部近傍の形状を入力し、PHMとNMEMそれぞれの計算ができるようにしました。さらに、反応の時間領域を工夫して両者を連成した計算ができるにしました。
計算結果を電気学会 A部門大会で発表し、コメントや質問を受け、大きな反響がありました。また。PEGSUSソフトウエア(株)も引き続きご協力いただけることになりました。
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