« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »

2016年12月

2016年12月19日 (月)

沖縄への見送り!(共同研究、最初の機器設置へ)

|

 

電気電子工学科の天野です。

本日、共同研究先の久米様に第一弾機器を引き渡し、沖縄の実験場所への設置をお願いしました。機器は久米様に連れられて(?)、飛行機で現地へと飛ぶ予定です。空港での搭乗手続きがスムーズに済みますように。

Items450x225
       発送した機器の一部

8月に共同研究を開始後、これが最初の機器の送出となります。実地でのデータ観測を行い、蓄積したデータに基づいた分析手法の開発が次なる目的の一つとなります。研究としても必要なデータや知見が得られる重要な基盤を立ち上げることができたことになります。

ここまで、約4ヶ月間、様々な問題もありましたが一定の解決を見て、今回の設置にこぎ着けました。更にここで得られた知見は大学での講義にも反映しています。

続いて解決すべき3つの課題も明らかにしました。来年はこれに関連した学会発表も予定しています。詳細はこれまでと同じくブログでどうぞ。

追記:なによりも、これまで蓄積してきた様々な知識・スキルを総動員して、実際に動く、社会的要請のあるシステムを実現することはたいへん楽しく充実した時間でした。こういうところは技術職に共通の達成感だと思います。

2016年12月14日 (水)

プラズマ殺菌用大気圧ジェットプラズマのシミュレーション

|

電気電子工学科の高木です。

エネルギー応用研究室では、安全安心で「人」のサステイナブルに貢献するプラズマ殺菌の研究を進めています。

プラズマというのは、空気などの気体に高電圧を印加して作られるイオンと電子の集団です。自然界に存在するプラズマとしては、北極近くの寒冷地で見られるオーロラが有名です。プラズマ中にはイオンと電子の他に、分子が分解されてできる活性種と呼ばれる原子も多数存在します。こうしたイオン、電子、活性種は、他の分子や原子との反応性が高く、これまでは半導体の表面を加工する装置として広く使われてきました。

最近では、生物や生体への適用が検討され、植物の発育促進、大腸菌などの殺菌への応用が検討されています。プラズマの生体応用への研究は活発に行われていますが、プラズマ自体の特性を測定・評価する研究は十分には進んでいません。とくに、そのシミュレーションについては、ほとんど報告例がありません。使われているプラズマが大気の高速な流れの中で生成されるジェットプラズマであるためです。

シミュレーションの分野では、基本方程式の頃なるシミュレーションを相互に関連付けて解くことを連成(または練成)と呼びますが、ジェットプラズマでは、プラズマ生成と気流解析を連成して解く必要があります。これに対して、PEGSUSソフトウエア(株)の御協力により、プラズマ生成のシミュレータ(PHM Plasma Hybrid Model)とガス流れの気流解析シミュレータNMEMNeutral Fluid Momentum Equation Model)を提供いただけました。

PHMNMEMに必要な計算条件パラメータを文献と測定で調べ、プラズマ発生部近傍の形状を入力し、PHMNMEMそれぞれの計算ができるようにしました。さらに、反応の時間領域を工夫して両者を連成した計算ができるにしました。

計算結果を電気学会 A部門大会で発表し、コメントや質問を受け、大きな反響がありました。また。PEGSUSソフトウエア(株)も引き続きご協力いただけることになりました。

2

2016年12月12日 (月)

4年生がパワーエレクトロニクス学会で発表を行いました

|

電気電子工学科の高木です。

昨年後期の創成課題から、3年生がエネルギー応用研究室に配属されました。創成課題の中で、4年生で行う卒業研究(卒研)についても話し合いました。卒研を進めるにあたり、学会発表を目標に研究を進める提案をしたところ、『大学4年間に学んだ集大成として、学会発表をしてみたい』と意思表明してくれました。発表できそうな学会を探し、パワーエレクトロニクス学会が12月に開催している「若手のため研究発表会」に参加することにしました。

10月の始めに、テーマを「リチウムイオン畜電池の回路モデリング」に決めました。1017日に所属とタイトル、顔写真を送って申し込みを終え、24日には予稿を提出し、31日には1分間の発表用パワーポイントを送りました。学会発表前日の8日にはA0サイズのポスターが完成しました。

2016年度の「若手のため研究発表会」は、129日(土)に立命館大学の大阪キャンパスで開催されました。当日は44件の申し込みがあり、講演会場には企業や大学から200人近い参加者があり大盛況でした。

最初に1分間のショートプレゼンがあり、30番目の発表でポスターの内容を要約し説明してくれました。その後、ABの2グループに分かれ、約1時間のポスター説明となりました。

発表テーマが「リチウムイオン畜電池の回路モデリング」でモデリングに興味を持つ人が少ないのでは、と懸念していました。その予想に反して、多く参加者の興味を引いたようで、ポスター説明には多数の人が訪れ、最後まで聴講者が途切れることはありませんでした。シャープやパナソニックなどの有力企業からも聴講者があり、とても好評だったということです。

今回は、当人にとっても、エネルギー応用研究室にとっても始めての学生の学会発表となり、いろいろと大変でした。それでも、やり切ったという充実感と顔写真入りの立派な予稿集が残り、とても有意義な学会発表となりました。

Photo

2016年12月 1日 (木)

100マイクロ秒の映像

|

電気電子工学科の新海です。

先日の学生実験から、放電プラズマの画像をご紹介します。

2年生後期に高電圧放電現象というテーマの実験があります。その中で、20万ボルトのインパルス電圧で雷のような放電を発生させ、その撮影を行っています。

いつも、まず自分のスマートフォンで放電撮影に挑戦してもらうのですが、みんなうまく撮れません。なぜかというと、インパルス放電は高々100マイクロ秒程度の大変高速な現象なので、簡単に捉えることができないのです。普通の動画撮影機能やビデオカメラでは30fps(1秒間に30コマ)のシャッタースピードで、33ミリ秒毎に静止画を記録し、それを連続再生することで動画に見せています。そのため、100マイクロ秒の現象では、静止画と静止画の間の空白時間に埋もれてしまうのですね。

ところが、先日の実験では新しいiphoneのスローモーションモード240fpsで放電をとらえた学生がいました。それがこちら。iphone恐るべし。

2

その後、特殊な高速カメラ30000fpsで撮影した画像はこちらです。

1

放電の形状がよくわかります。らせんのようにも見えます。2方向から撮って画像処理すると立体構造もわかります。こうなると卒業研究レベルですね。

それにしても、100マイクロ秒の放電でも、みなさん肉眼で放電を確認できています(視力がある方なら)。人間の目と脳のスペックはすごいです。まだまだ電気電子技術は追いつきません。

« 2016年11月 | トップページ | 2017年1月 »