排熱発電の特別講演でエネルギーのサステイナブルをアピールしました
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こんにちは、電気電子工学科の高木です。
排熱発電テーマについての近況を報告します。排熱発電などのパワーエレクロトニクス(以下パワエレ)分野では、回路解析、製品設計に多くのシミュレータが使われています。その中では米国のPowersim社のソフトPSIM(Power
electronic circuit SIMulator)のユーザが多く、この分野のスタンダードツールとなっています。11月20日にPowersim社の社長が来日し、PSIMのユーザ会が開催されました。当日5件の特別講演があり、その中の1件として、排熱発電の現状とシミュレーションの活用について報告し、エネルギーのサステイナビリティについてアピールしました。
パワエレの研究では装置全体でのエネルギー消費が重要なため、電源から電気回路、そして負荷までを研究対象として扱います。通常の電気・電子回路では、一般にはSpiceと呼ばれるシミュレータが使われていますが、こうした広い対象を扱うことはできません。このため、パワエレに特化した複数のシミュレータが開発されています。その中で、米国のPowersim社が開発したPSIMというシミュレータが国内では最も多く使われ、パワエレ分野のスタンダートとなっています。
シミュレーションを活用してパワエレの研究を効率よく進めるため、着任後、すぐに研究室にPSIMを導入しました。研究対象としている排熱発電で、発電された電力を高い電圧に変換する回路(DC-DC変換器)にPSIMを適用しました。スイッチング素子のエネルギー損失を計算し、9月の電気学会の部門大会で報告しました。シミュレーションの開発目標は、発電、DC-DC変換器、交流100Vに変換するDC-AC変換器までをモデル化し、発電された電力を最大限に取り出す制御アルゴリズムの構築することです。
PSIMは日本国内のユーザが多いことから、ユーザ会が定期的に開催されており、今年度は11月20日開催予定となっていました。9月に発表した内容が関心を集めたことから、PSIM国内代理店のMywayプラスから排熱発電とこれにPSIMを適用した事例を報告して欲しいという打診を受けました。排熱発電によるエネルギーの有効活用とサステイナブル社会への貢献をアピールする良い機会なので、講演を引き受けました。
ユーザ会は横浜グレイスホテルで開催され、定員100名をはるかに超える事前申し込みがありました。PSIM社プレジデントのHua Jin氏を含め5件の講演があり、4件目に報告を行いました。排熱発電の現状、予想される省エネ効果、実用化で必要となるパワエレ回路の開発項目を中心に30分の講演を行いました。報告では、排熱利用でエネルギーを有効活用できる「エネルギーのサステイナビリティ」を強調しました。発表後、富士電機、シャープ、トヨタタービンアンドシステム、TDKなどから多くの質問があり、排熱発電によるサステイナビリティを広く認識してもらいました。
今後も、シミュレーションモデルの構築と電力変換回路の研究開発を進め、研究成果とサステイナブル社会への貢献を積極的に発信していきます。
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