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2015年8月

2015年8月26日 (水)

スマートギターで電動台車を動かしてみた

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こんにちは、電気電子工学科の天野です。

夏休みの自由課題とばかりに、機材の動作検証を目的にスマートギターで電動台車の制御を試みました。
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このギター型デバイスはKickstarterで募集されていたSmart Guitar「Jamstik+」です。4月に申し込み、ついに届きました。クラウドファンディングとしてはずいぶんと短期間で届いたと思います。

入力装置としたとき、これはたいへんユニークな形状で面白いものです。どんな風にセンシングしているのかも興味がありました。

これまでにMIDIに関するプログラミングはまったく経験がなかったのでお盆の大学閉鎖期間中に少しずつ調べました。新しいおもちゃと判断した長女にときどき奪われながらも、とりあえずWindows PCとUSB接続(本来はBluetooth接続する機器ですが)し、演奏に相当する入力を取得できました。

使えるとなれば、これで○○のようにロボットを動かしてみたい、正直に言えばむしろそれが目的か...。ということで(?)まずは電動台車を動かしてみました。ゲームコントローラーの十字キーで動かせるようにしていたところを、このプログラムでは1弦の押さえるフレットの違いで直進・左旋回・右旋回を、弾く弦の本数で強弱を制御してみました。

スマートギターで電動台車を動かしてみた@YouTube

私自身はギターはコードも弾けない初心者以前だからか、操作しやすいとはいえませんが、気分は爽快です。ただし、これ以上の操作性を実現するには、その前にギターの練習が必要です。

電気電子工学科の学生には、こういったデバイスを自作できるだけの力が身につくはずです。できれば学生のうちにクラウドファンディングに挑戦できたらよいですね。

2015年8月22日 (土)

コーオプ教育試行の思い出

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こんにちは、電気電子工学科の天野です。

先日、工学部におけるコーオプ教育の取り組みが「大学教育再生加速プログラム(AP)」に採択されました。

この知らせを聞いて、初期の取り組みとそれに参加した3名の学生のことを思い出しました。

同時に、これまで電気電子工学科ブログでは、コーオプ関連の記事はすべてコーオプ担当の笹岡先生による記事だと思い至りました。それは当然のことなのですが、ここはあえて違う視点からの記事もあれば面白いのではないか、というわけでこの記事を書き始めました。

笹岡先生ならびにその前任の小川先生のご尽力で、これまで私は合計で16名、7社でのコーオプ教育の試行に関わることができました。

その中でも最初のコーオプ教育の試行への参加は、工学部以前、私がメディア学部に所属していた2012年のことです。株式会社JVCケンウッド様からの依頼に基づいてandroidアプリを開発しました。当時、私のプロジェクト演習(自由参加型のサークル活動のような演習。藤澤先生とともにスマートフォンアプリ開発に関する内容を扱っていました)に参加していた3名の学生がこれに取り組み、後に初期の試行の一つとなりました。

この3名の学生は更に2013年に株式会社シーガル様で、今度はマニュアル作成の内容でコーオプ教育の試行に取り組みました。更に1名は株式会社エイビット様でのコーオプ教育の試行にも参加しました。

彼らにはコーオプ試行以前に演習を通じて教育を行い、それから世に出すという意味でもこれから本番を迎えるコーオプ教育にかなり近い形での試行でした。しかも3名ともその後、私の卒研室に入りましたので、卒業するまでその成果を直接、見守ることができたという点で、教育機会としても恵まれました。

コーオプ教育を通じてスキルだけでなく様々な面で鍛え上げられ、3名とも早期かつ自身の志望度の最も高かった企業から内定を得て、この3月に卒業しました。就職活動で彼らが高く評価された一因は、彼らが単なる技術スキルだけでなく、コーオプ教育を通じて「仕事」を理解していたことによると考えます。

彼らの活躍を通じて得られた知見を、今度は電気電子工学科の学生へ展開し、広く多くの学生によい経験を通じた学びの場を提供することが次の課題です。

2015年8月20日 (木)

WACA(世界産学連携教育協会)の世界大会からの報告

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こんにちは、 コーオプコーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

今日はコーオプ教育に関する世界的な会議に出席した報告です。

コーオプ教育に関する世界的組織としてWACE(World Conference on Cooperative & Work-Integrated Education:世界産学連携教育協会)というのがありますが、8月19日~21日までの3日間京都産業大学において、その世界大会が開催され、私も初日だけですが出席してきました。

最初の基調講演では、「企業が求める人材と大学教育への期待」ということで山本忠人氏(富士ゼロックス株式会社 代表取締役会長)が講演されました。講演では、同社でも入社3年以内にミスマッチにより退職する社員が約3割いるが、なんと一人当たり約2500万円程度の教育費の損失とのこと、また、最近、企業で必要とされる能力は、チームワーク、誠実さ、課題解決力とのことでした。人材育成では、VFP(Visiting Fellowship Program)を紹介し、海外からも有給のインターンシップを受入れており、当初は中国を想定していたが最近はシンガポール、インドにも拡大しているとのことでした。また、インターンシップを通じて採用した社員の離職率は低い上、パフォーマンスも高いと言えるとのことであった。これらのことから、同社のコーオプ教育に寄せる期待の高さが伺われました。さらに興味深かったのは、同社に来たインターンシップの学生にアンケートしたところ、当然仕事に関する理解が深まったことが1位でしたが、2位が「自分に必要な能力が分かった」(23%)ことと、即ち「気付き」を得たことを上げていたとのことでした。学生は意外と自分の能力を客観的に確認したいのかもしれません。

次に、分科会で「インターンシップ中のソーシャルネットワークの活用@ミシガン大学」に関する議論に参加しましたが、インターンシップ中の学生のパフォーマンスには、企業からのスーパーバイザーに加え、大学によるメンターによる学生のフォローが極めて重要であるとの報告がありました。具体的なメンターの役割について質問したところ、学生の生活面の相談役で、企業側の方に直接言いにくいことが相談できるなどとの説明でしたので、本学でも同じ会社でコーオプ実習を受け入た先輩が後輩のメンターになることも検討できるのではないかと思いました。

午後からのジャパンプログラムでは、「企業・学生・大学から見た長期インターンシップの成果と課題」というテーマに参加し、最近実施された新潟大学と京都産業大学における長期・有給のインターンシップの成果を聴きました。会場は200人程度と大盛況であり、本テーマへの関心の高さが伺われました。発表者は、大学の先生、受入企業の担当者、実際に参加した学生たちでした。

新潟大学の取組は、3週間(長期休暇中)の無給のインターンシップの後、学期中に3か月、週2日の有給のインターンシップを実施したとの報告でした。ただ、学生から一定の自信が得られたとの報告であったが、総じて期間が短く(時間が足りなくて)、学生も企業側も消化不良気味な印象であった。また、8名の学生に対し同数の教員が関与しており、今後規模を拡大するにはコスト・パフォーマンスの問題があるとのことでした。

京都産業大学も13名が4カ月にわたって4社で有給のインターンシップ(週3日労働、週1日座学、八月に5日間の集中研修)を行ったとのことでした。最初の2名は「長期」という観点から、①仕事は(学生の能力では)難しいという理解が深まった、②仕事のできる人のイメージが分かった(基礎的な知識が完璧で、臨機応変に対応でき、仕事をうまく振り分けられる人)こと、後の2名は「有給」という観点から、③目標達成を達成すること(そのためにはメンバーとのコミュニケーションが大事)、④貢献することの難しさ(仕事には納期があり無限に時間は使えない、報連相が大事であること)を学べたことが成果であったと報告しました。非常に素晴らしい学生たちの中身の濃いプレゼンテーションだったと思いました。

全体の感想ですが、今回コーオプ教育に関し世界的な情報交換ができた意義が大きかったことは当然ですが、コーオプ教育の費用対効果の問題を今後どうするかが日本の大学の重要な課題ではないかとの印象を強く受けました。日本からの事例紹介を聴いていると各大学とも学生数に対して相当数の教員を投入しており、今後コーオププログラムの一層の拡大を図ろうとすると、これまでのやり方では対応しきれないのではないかと印象でした。

如何に合理的なコストと手間でコーオプ教育を実施するか、まさに本学工学部の取組はその試金石であると思った次第です。

2015年8月 7日 (金)

コーオプ実習の事前学習の一例

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こんにちは、 コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

本日は今夏にトライアル(試行)でコーオプ実習に行くコンピュータサイエンス学部及びメディア学部の学生、約20名に対して行った事前学習のことについて非常に興味深かったので、その全ては無理ですがその一部を書かせて頂きます。

まず最初に、講師の方が学生に12秒間与えて周りの出来るだけ多くの人と握手してくださいと指示しました。1回目は皆さん58人の方と握手できたようでした。次に前回よりも多くの人と握手するとの明確な目標を与えて同じことを行いました。一人を除いて全員が前回よりも多くの人と握手できました。これから分かることは非常に明快で「明確な目標を持ちそれを意識して行動すれば、目標が無い時よりもパフォーマンスは上がる」ということです。だから、今夏のコーオプ実習でも全ての学生に一定の目標を持たせるようにしましたし、本番では言わずもがなです。

次に興味深かったことはコミュニケーション部分、特に「言葉よりも非言語のコミュニケーションが基礎として大事である」ということでした。講師の方は、ペアーを組ませて、一人が自己紹介をし、最初他方にそれをひたすら無視し続ける様に指示しました。次は相槌を打つ(頷く)ように指示しました。その違いは歴然でした。人間は本能的に何気ない仕草に敏感で、人の印象を決めていることがよくわかりました。確かに私も複数の人に説明していて、その中に頷いている人がいれば、ついその人を見て話してしまいます。どんなに話すことが上手くても、人な話を上手く聴けない人はコミュニケーションはとれませんよね。納得でした。

最後は仕事への意識です。講師の方が全員に落としても支障がないもの(消しゴムやハンカチ、ペンケースなど)を持たし自分も入って輪を作らせました。全員が右手にそれを持ち、次に、隣の人に渡しながらそれらを同時に回していくというゲームのような作業をさせました。最初に全員が持っているものは実は「仕事」を表しています。輪の中を全部の「仕事」を同時に回していくことは簡単でしたが、講師の方が「仕事」を溜めて一度に3つくらいを隣の人に渡すとその人は「仕事」を一つ落としてしまいました。また、講師自身が意図的に「仕事」を落としたりもしました。暫くして作業を止めて、講師が「今「仕事」を持っていない人は誰?」と訊くと、5人くらいが手を上げました。全体の中でたった一人がさぼったり、不誠実なだけで「仕事」の流れが乱れて無駄が出る(仕事も持たない人)ことが一目瞭然でした。出席者全員が仕事に対する意識、特に責任感の重要性を実感できた気がします。

今回はトライアルですのでこれらを1コマ(90分)と相当早足で行いましたが、工学部の本番ではもっと丁寧にやることになります。「このような事前学習を受けた学生であればどの企業でコーオプ実習を行っても大丈夫そうだな」とちょっと安心した次第です。

2015年8月 5日 (水)

「赤外線レーザーの応用」について企業との共同研究を始めました

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こんにちは、電気電子工学科の高木です。
4月に東京工科大学に着任してから、約4ヶ月が過ぎ、大学での仕事にも慣れてきました。

以前、企業で「赤外半導体レーザ(以下、赤外LD)」を使った生体計測の研究をしていました。今回、赤外LDを生体計測以外の応用に展開することになり、国内外に事業展開している大手電機メーカーと共同開発契約を締結し、研究を開始しました。

この電機メーカーが開発しているのは、人間が吐き出す呼気中の微量物質を、赤外半導体レーザで測定し、健康状態や運動状態を調べる装置です。呼気は、その90%以上が窒素、二酸化炭素などの大気ガスで構成されていますが、残り数%にアセトアルデヒド、アセトンなどの微量物質が含まれています。これを測定することで身体の状態を調べることができ、呼気診断と呼ばれています。飲酒運転を調べるのに、呼気中のアルコールの濃度を調べるのもその一つです。

 

呼気診断の測定方法は他のガスにも使えます。図は、赤外LDを使った微量ガス測定方法です。測定したいガスに赤外LDを照射し、入射前後の光強度を比較することで光の吸収量を求め、光を吸収した物質の濃度を求めます。測定に赤外LDを使うのは、(1)波長が赤外であること、(2)レーザーで伝搬距離が長いことからです。

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(1)として、光の波長は短い方から紫外線、青色、黄色、赤色の可視光、赤外線となります。赤外線は人の目には見えませんが、可視光に比べて測定ガスでの吸収量が多く、測定感度が高くなります。

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2)では、レーザ光は、一般の光に比べ、広がることなく遠くまで伝搬します。レーザポインタの光が遠くまで届くのと同じです。測定ガスの両側に鏡を置き、測定ガス中を何度も往復させて吸収量を増やすことで、ppb10億分の1)~ppm100万分の1)の高感度測定が可能となります。

呼気以外の応用先として考えられるのは、大気中の微量ガス測定です。火山噴火で放出される二酸化硫黄(SO2)、自動車から排出される窒素化合物(NOx)、工場から排出されるアンモニア(HN3)などの測定も可能です。こうしたガスの濃度を測定することは、大気環境を知り、改善していく上でとても重要です。

東京工科大学と大手電機メーカーとの共同研究で、環境ガス測定を含めた赤外LDの応用展開を進めていきます。

2015年8月 3日 (月)

期末試験でのインターネット利用の試み

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こんにちは、電気電子工学科の天野です。

先日、私の担当する講義の期末試験を実施しました。この試験では通常の回答(紙面)以外に、いわゆるオンライン回答(オンライン受験)も可能としました。

その実施については当日までいろいろな理由からためらっていたのですが、単一教室での実施であるので自分で詳細に状況を把握できることと、紙での回答を用意しておくことで最悪の状況(回答が受け取れない)は回避できるという見通しから、オンライン回答も実施しました。他の講義でも同様の試みをしています。それぞれ教員ごとの方法で実施し、ノウハウを蓄積しつつあるといえるでしょう。

この試験では約2/3の学生からオンラインでの(オンラインでも)回答を得られました。単純に機械的に採点できる問1の平均値は(検証をしていない現時点での速報値としては)23点(約77%)でした。事前の予想以上に間違える箇所が偏っていたので、このあたりは今後の分析対象となりそうです。こういったことを即時的に把握できるのはオンライン実施のメリットと考えられます。

トラブルで回答ができなかったという申し出は1件だけであったので、全体としてはうまくいったと考えてよいと思います。このトラブル1例については発生が想定されない内容であったので、後日、検証する予定です。

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