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2015年7月

2015年7月31日 (金)

Windows 10 とFPGA実験準備

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こんにちは、電気電子工学科の天野です。

Windows 10がリリースされました。

本学では学生が個々にノートPCを所持しているので、実験環境も学生の持ち込む環境に依存するようになります(どうしても固定的な環境を必要とするものは別にPC自体を用意しています)。このため、OSに大きな変化があれば、それに基づいた検証が不可欠になります。特にデバイスが絡んでくると色々と厄介なケースもあります。

来年度、私の担当する電気電子工学科の実験テーマではFPGAを用います。FPGAは電子回路とコンピューターのよいところを組み合わせて使うことのできるものです。

これまで事前に機材選定などの観点で検証してきたのはWindows 88.1)との組み合わせでした。基幹部分での差が大きく取りざたされることのない810ですから、大丈夫だろうという見通しはあれども、実際に動かしてみないことには不安です。もし動かなければ、対象機器やソフトウェアの見直しが必要になってしまいます。

正式にWindows10がリリースされましたので、最終的な検証を早速行ってみました。

基本的に書き込みまでできればOKですから、非常に簡単な動作試験用プログラムを作成し、その動作を確認してみました。
R0010689s

...無事に動作しました!

これで一安心です。

2015年7月30日 (木)

モノのインターネット ( IOT : Internet of Things )

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皆さんコーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

私は専門に情報セキュリティが含まれていることもあり、毎年5月にビックサイト(お台場)で開催される「JAPAN IT Week」のセキュリティEXPOに行っています。その際、いつも講演を聴くとことにしているのですが、今年は時間が合わず、情報セキュリティではなくIoTInternet of Things)の話を聴きました。インテル社副社長のジョナサン・バロン氏の話でしたが、会場は立ち見もでる大盛況でした。おそらく、今話題のホットなテーマだったのだと思いますし、私も聴いていてなるほどなぁと思いましたので是非ご紹介したいと思います。

まず、既存のシステムの85%が現在ネットワークと未接続で、機器相互またはクラウドとデータを共有していませんが、今後は2020年までにインターネットに接続できるデバイスの数が、2015年予想の150億台を大幅に超えて500億台まで増え、その多くが、PCやスマートフォン、タブレットといった「人が使うデバイス」ではなく、自動車、鉄道などの輸送機械や自動販売機、工場設置機器、医療機器などであるとのことでした。

私が目から鱗だったのが、メトカーフの法則(モノがネットワークにつながること自体でそのモノの価値が上がる)で、つまり「多くのデバイスをネットワークに接続することで、企業はデータを収集でき、その結果、新しいビジネスの展開が可能になる」とのことでした。

例えば鉄道の分野です。運転手の運転経験(技量)によって運行による燃費がかなり異なるそうです。同社は新米の運転手にIPadを持たせてブレーキやスピードの出し方を指示したところ、先輩の運転手に勝る燃費を実現できたそうです。実際、日立は最近鉄道分野で英国をはじめ大型案件の受注に成功していますが、そのようなIT技術が評価されているとのことです。同様に、IoTによって食料の無駄(廃棄)を減らしたり、ヘルスケア分野では再入院回数を減らして医療費の削減に役立だったり、確かにIoTが新しいビジネス展開を可能としているとのことでした。同様に工場やプラントなどの制御システムもこれまでは独自仕様のためネットワークと必ずしも繋がっていなかったのですが、最近は汎用PCが制御系システムにも導入さるようになり、ネットワークに組み込まれることが多くなっています。まさに、IoTが今ものすごい勢いで進展しているようです。

このようにIoTの進展はあらゆる製品やサービスの無駄を削減しますのでサステイナブル工学を学ぶ工学部皆さんにも是非関心をもって頂きたいところであると同時に、コーオプ演習Ⅰの取組課題としても十分意識してほしいと思った次第です。

2015年7月27日 (月)

コーポレートガバナンスとサステイナブル工学??

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コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

皆さん、最近ニュースで東芝の不正会計処理問題が大きく取り上げられていますが、どのように感じられていますか?新聞では内部統制がなってなかった、経営者の行き過ぎた利益至上主義などと報じられています。東芝は日本を代表する企業ですし、経団連のトップも出す名門ですがこのような事件を起こし、同社だけでなく日本の企業自体のコーポレートガバナンスに対し世界中から疑いの目が向けられるようになったような気がして私としても残念でなりません。折しも、今年の6月から日本証券取引所(JPX)が全ての上場企業を対象に「コーポレートガバナンスコード」を策定・導入したばかりでしたのでなおさらでした。ところで、皆さん、「コーポレートガバナンスコード」って、ご存じだったでしょうか。丁度良い機会ですのでちょっと解説しましょう。

「コーポレートガバナンスコード」とは、会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みです。これに照らせば、東芝の経営陣が行った今回の不正会計処理は、株価を大きく下げて株主は損失を蒙りましたし、「透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」とはほど遠いものだったといえます。

もう少しこれを掘り下げてみますと、同コードは以下の五原則から成っています。

1.株主の権利・平等性の確保 ここでは大株主やプロの機関投資家だけでなく、少数株主(個人株主)や外国人株主についても十分に配慮を行うべきことも書かれています。

2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働 株主以外のステークホルダー(利害関係者)とは、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会のことです。また、その中ではさらに、上場会社は社会・環境問題をはじめとするサステナビリティー(持続可能性)を巡る課題について、適切な対応を行うべきであることも定められています。これは、もちろん、今後ますますサステイナブル工学は重要になるということですね。

3.適切な情報開示と透明性の確保 上場企業は、1)会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、2)経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について法令に基づく開示を適切に行わなければなりませんが、東芝の今回の問題はこの基本原則に反したことになります。

4.取締役会等の責務 特に重要なのは、独立社外取締役です。少なくとも独立社外取締役2名以上が選任され,業務執行とは一定の距離を置き,独立した客観的な立場から経営陣に対し実効性の高い監督(モニタリング)を行う役割・責務を果たすべきであるとの原則が提示されています。彼らはには、今回の東芝の事案のように生え抜きの経営陣が暴走するのを抑える役割が期待されます。

5.株主との対話 これにより、最近、上場企業は資本を如何に効率的に活用して利益を稼いでいるかを示す指標である自己資本利益率(企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合:ROE)を8%以上にするとか、株主優待制度を設ける企業が増えてきました。これからの企業経営は株主、とりわけ株価を意識せざるを得なくなっています。

コーポレートガバナンスコードとサステイナブル工学が繋がっているとは意外だったのではないでしょうか。コーオプ実習では、期間も2か月と限定されてますし、実習中にコーポレートガバナンスコードを意識するようなことは無いかもしれませんが、サステイナブル工学の重要性は同コードの五原則の一つ【2.株主以外のステークホルダーとの適切な協働】で明確に謳われていますので、工学部で学んだことは今後皆さんが就職した先において必ず役に立つことでしょう。その意味でコーポレートガバナンスコードの導入は、サステイナブル工学を学ぶ工学部の学生にはとても追い風ではないかと私には思えますが、如何でしょうか?

2015年7月23日 (木)

製造業のグローバル化 国内工場と海外工場の役割分担

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コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

コーオプ実習で肝になるのが、コミュニケーション力=雑談力という話を前々回のブログで行い、それではということで、社長が常日頃頭の中で考えていると思われること、即ち製造業の現状と将来について具体的な統計データを織り交ぜながら解説しました。さて、新しくできた工学部の3つの特色をご存知でしょうか?①サステイナブル工学、②コーオプ教育、③世界に通用するエンジニア(グローバル化への対応)です。①②はこれまでの私のブログでも触れましたが、③についてはまだでしたので、今回は製造業のグローバル化、特に最近の国内回帰傾向などについてちょっと解説してみたいと思います。

経済産業省が2014年末に実施したアンケート結果(上場している製造業740社対象)によると、そのうち約7割の企業は、海外拠点への移転の決定要因として、海外市場の拡大を挙げています。つまり、マーケットの近くで生産した方が有利と考えたということでしょうか、当然と言えば当然です。

製造業のグローバル化は、昭和60年頃から、プラザ合意による急速な円高の進展により国内で製造するよりも安いという理由で、とりわけ中国、東南アジアをはじめとする新興国への工場移転が進みました。その際海外工場と国内工場の役割分担は、より安く製造しないといけない量産組立品は労働コストの安価な海外工場で製造し、価格の高い高級品は国内工場で製造するというものでした。

そうこうしているうちに、新興国の労働コストも上がってきました。それでも、今度は新興国が経済成長と共に市場として成長し、海外工場から直接現地(海外)市場に製品が売れるようになり、海外工場の位置づけも単なる日本向けの輸出基地から現地市場向けの生産基地に変わったように思われます。そして、従来、国内工場の担当とされていた価格の高い高級品も、海外工場の技術レベルの向上と共にどんどん生産拠点が海外に移り、国内工場は益々縮小を余儀なくされました。

そこに最近のアベノミクスによる円高是正、円安の進行が起こり、国内生産拠点の位置づけが再度問われる事態となってきています。再び同アンケートを見ると、約13%の企業(約100/740社)が国内に生産拠点を戻したと回答しています。業種別にみると、電機機械、一般機械、自動車部品などが多いようですが、国内生産に戻した理由としては、i) 品質や納期など、海外でのものづくり面での課題があったⅱ) 円高是正で、日本国内で生産しても採算が確保できるようになったⅲ) 人件費高騰などにより、海外の生産コストが上昇したの3点が多く挙げられていますが、必ずしも円安だけが理由ではないようです。

さらに、【国内生産拠点の位置づけ】を見てみると、約700社の6割以上が国内生産拠点を「海外拠点との差異化を図るための拠点」と回答しています。具体的には、ⅰ)新しい技術や製品など新たな価値創造を生み出す「イノベーション拠点」ⅱ)海外へ移管する生産技術や海外工場のバックアップを担う「マザー工場」ⅲ)多品種少量生産や短期生産などに柔軟に対応できる「フレキシブル工場」が多く挙げらていますが、これが現在の製造業の社長さんが国内生産拠点に関して頭の中で考えていることのようです。

最後にまとめますと、最近の生産拠点の国内回帰傾向は(円安はきっかけにはなったかもしれないが)円安だけが理由ではなく、海外工場の納期や品質へのもともとの不満や経済発展による円安以外の要因によるコストの上昇もあったためと考えられます。さらに、国内生産拠点の中でも、そこが「イノベーション拠点」、「マザー工場」、「フレキシブル工場」として役割を持っていれば、為替レートに左右されることなく今後も生き残れそうですね。皆さんが将来、就職で目指しそうな企業は国内工場をどのように位置付けているか、興味が出てきたのではないでしょうか?

皆さんが海外展開している製造業にコーオプ実習に行った時には、以上のような知見が雑談の役に立つことを期待しています。

2015年7月18日 (土)

1年生のポスター発表から 電気自動車とガソリン車のどちらがサステイナブルなのか

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コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

先日、工学部1年生のフレッシャーズゼミのポスター発表を見てきました。これは、4~5人のグループが工学部の各研究室を回り、研究内容をヒアリングして1枚のポスターにまとめるというものでした。会場一杯に数十のポスターが置いてあり、私も面白そうなポスターがないか見て回りました。工学部はサステイナブル工学に力を入れていますので、当然それに関わるポスターも目に入りましたが、その中で私の目についたのは「電気自動車は地球温暖化防止のためになる」という行でした。その学生は何の疑問もなく、ガソリン自動車と電気自動車を比較して書いたようですが、私は米国で環境科学も勉強したことがあって、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の考え方から「電気が何で発電されたかで変わるかもしれないよ」とそのポスター担当の学生に言いました。

電気自動車は確かに電気で走り、そこから直接温室効果ガスは発生しませんが、その電気は発電所から送られてきています。「エネルギー白書2014」によれば、2012年時点で、LNGで42.5%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、実に88.4%を占めています。火力発電の割合は2009年当時は61.7%でしたが、この急速な火力発電依存の背景には、ご存知の通り原子力発電所の稼働停止があります。このように今使っている電気の約9割は火力発電からきていますので、この電気を使うだけで実は温室効果ガスを発生させていますよね。また、発電した電気が電気自動車の給電所に届くまでの送配電ロスもありますし、さらに、電気自動車は電気を蓄電池に充電したのち放電してモーターを回します。蓄電池の性能次第ですが、その充放電の過程でも当然ロスが出ます。このように発電所で発電された電気もそのままロスなく電気自動車を走らせるわけではないのです。この辺のさらなる分析や研究は電気電子工学科の学生の良いテーマかもしれませんね。

ちなみに、ネットのデータ (出典:http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=822)によれば各種発電方式の二酸化炭素排出係数(1kWh当たり発生するCO2の量kg)は、石炭火力 0.887kg-CO2/kWh、石油火力 0.704kg-CO2/kWh、LNG火力  0.478kg-CO2/kWh、原子力・水力  0 kg-CO2/kWhだそうです。

一方、自動車はどうでしょう。当然排ガスには温室効果ガスが含まれています。その発生量は、ガソリン1ℓ当たりCO2換算で2.32 kgとなるそうです。でも、最近の自動車って燃費がすごく上がっていますよね。また、ディーゼルもありますし、さらに軽自動車の燃費はもっと良いですよね。それに自動車の場合はガソリンから直接エンジンを動かして動力を得て車を走らせていますので熱効率も良いかもしれません。ただ、一方で、電気と同じく、原油からガソリンを精製する段階でエネルギーを使っていますのでそこでも温室効果ガスを発生させています。このテーマのさらなる分析や研究も出来れば機械工学科や応用化学科の学生にやって頂きたいなあと思う次第です。

さて、今は火力が約9割ですが、つい最近、7月16日に経済産業省が「長期エネルギー需給見通し」を公表し、日本の将来(2030年度)のあるべき電源構成(ある意味ベストミックス)に結論を出しました。それによれば、原子力が20~22%程度、再生可能エネルギーは22~24%とほぼ同程度。それ以外は全て火力(LNG 27%、石炭 26%、石油 3%)です。LCAから見て、電気自動車とガソリン車がそれぞれどの程度の温室効果ガスを排出量するかはこの電源構成次第と言えます。将来は火力の比率が相当下がりますが、今はひょっとして電気自動車の方が温室効果ガスの発生量が多くなるということもあるかもしれません。

政府はかなり政治的な要素も勘案して2030年度における電源構成のベストミックスを決めましたが、電気自動車とガソリン車のどちらがよりサステイナブルなのかなど、サステイナブル工学の視点から将来の日本の電源構成を考え直すことも面白い気がします。折角フレッシャーズゼミのポスター発表がキッカケですし、工学部の学生たちには後期から始まるコーオプ演習Ⅰ(グループワーク)でこれらをテーマに取り上げる人たちが出てきてくれないかなと、つい思わずにはいられませんでした。

2015年7月14日 (火)

職場で役に立つ時事ネタ 製造業のおはなし

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コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

コーオプ実習の胆(きも)はコミュニケーション能力です。そこで意外と大事なのが雑談力です。雑談力とは?と思うかもしれませんが、実は誰とでも雑談できるってすごいことなんですよ。それができる人は、多分敵を作ることがありませんし、そういう人は自分を中心にネットワークができ、自然に色々役に立つ情報も入ってきます。ただ、だれとでも雑談できるためには何が必要でしょうか?当たり前のことなのですが、一言でいえば『幅広い教養』ということに尽きます。関心は人それぞれ、それに合わせて話題についていけるかということになります。その意味で教養課程で取る人文社会系の科目も大事です。

コーオプ実習の場合も職場ですから、周りは目上の方ばかりと思われます。彼らは職場で日頃どんな話題で雑談しているでしょうか?普通は、新聞やニュースなどの時事ネタ(男性はスポーツもありかも・・・)が多いです。彼らの会話に自然に入っていければ、又は自分なりの持論を言えれば、コーオプ実習は大変有意義になります。そこで、今後のブログでは、順次、実習時に使えそうな教養的なお話を皆さんに紹介したいと思います。

今回は、工学部に関係が深い製造業のことを話します。まず、製造業の日本経済における位置付けですが、GDP(国内総生産)に占める割合は約2割です。その割合は、今ではサービス業よりも少し低くなりましたが、 他産業への波及効果が高く(製造業が潤えば他の産業も潤う度合いが大きい)、国内生産額(売上に相当)に占める割合は3割(サービス業は24%)を超えています。また、日本の製造業のGDP比率(約2割)は、米国、英国、フランス(約1割強)よりも高いものの、中国、韓国(約3割程度)やドイツ(約2割強)より低いというのが現状です。このように日本は欧米諸国と同様先進国ですが、ドイツと並び「ものづくり志向の強い国」と言えます。これは皆さんにはちょっと驚きかもしれません。ある意味、日本は先進国の中では、工学部の学生が就職し易い国とも考えられます。

また、最近の製造業の景気(即ち、企業収益や設備投資の動向)ですが、政府がものづくり企業を応援していることもあって改善傾向にあるようです。例えば、東証一部上場企業〈製造業〉の2014年度の見通しによれば、55.5%が増収増益です。さらに、設備投資額は、リーマンショック(200810月)により78.4兆円⇒59.9兆円と一時的に急減しましたが、2013年度には68.2兆円まで、201410-12月期は、年率換算で68.9兆円まで回復してきました。2014年の政府の成長戦略においても、「3年間でリーマンショック前の投資水準を回復」することを目標に掲げましたが、この調子でいけば容易に達成しそうですね。ということで、もし皆さんが今年卒業していれば、さぞ製造業に就職し易かったことでしょう。

さて、皆さんが就職活動に入る3年後はどうでしょうか?実は意外と為替レート(円安か、円高か)がキーになるかもしれません。というのも最近、製造業は、円安(1ドル80円前後⇒1ドル120円程度)のおかげか、生産の海外展開も一服し、国内回帰傾向が見られるようです。例えば、製造業の海外設備投資比率(全体投資の中の海外投資の割合)は、円高とリーマンショック以降の新興国(中国、ロシア、インド、ブラジル、東南アジアなど)ブームの中でのグローバル展開を背景に急拡大を続けてきましたが、近年は、さすがに30%前後で頭打ちとなっています。さらに、前年度比でみると、2011-13年度の実績では国内投資(数%の微増)に比べて海外投資が大きく増加(3050%の大幅増)していたのですが、直近の2014年度計画では国内投資は増加(14.6%増)する一方で海外投資は減少(―1.6%)しています。これは国内回帰に見えます。製造業の輸出も、2012年秋以降、金額(円ベース)及び数量ともに増加傾向で推移しています。ここまで来ると、さすがにアベノミクスによる円安効果では?と考えざるを得ませんよね。ただ、問題はこの円安が今後も続くでしょうか?という点でしょう。

最後にまとめましょう。日本はドイツと並び先進国では珍しく「ものづくり志向の強い国」です。そのためもあり、日本の製造業は、リーマンショック後は一時不振でしたが、政府の政策支援もあって持ち直してきました。現在はさらにアベノミクス、特に円安で生産の国内回帰も進み、現時点では工学部の皆さんの将来は明るそうです。でも今後はどうでしょうか?

これって実は、製造業、主に自動車や電機産業に関わる会社の社長さんが皆さん考えて(心配して)、自分なりの答えを模索していることなのです。皆さんも社長になったつもりで、コーオプ演習Ⅰ(1年後期)でグループワークしながら考えみては如何でしょうか。社長が一番飛びつく話題に自分の持論を持っていればコーオプ実習だけでなく、将来の就職活動に役立つことはもちろん、就職後も会社内で皆さんは重んじられると思います。さて、如何だったでしょうか。

2015年7月13日 (月)

電動台車(No.9 長く暑い道のり)

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こんにちは、電気電子工学科の天野です。

オープンキャンパスの会場変更のため、電動台車も研究所棟から研究棟Cへと移動しなければなりません。ずっと雨が続いていたこともあり、なかなか移動できませんでしたが、本日、学生2名とともに移動することとなりました。

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総重量が200kgもあることから、電動台車は走行しての移動となります。研究所棟から研究棟Cの間はおおよそ500m。平坦な路面用の電動台車にとっては不向きな傾斜が続きます。ひっかかれば、その度に引き上げてやらないといけません。

今回は約30分間で移動できました。前回よりもかなり短縮できた計算です。前回の経験から色々と細かな改善ができたようです。

このとき、八王子市の気温は気象庁のデータによると34.835.5度。真っ白なタイルのキャンパスの気温はもっと高くなっていたのは間違いありません。普段、私はキャンパスでは帽子はかぶらないのですが、今回ばかりは帽子をかぶり、水を飲みながらの作業となりました。

さて、これで無事に移動できたので、719日のオープンキャンパスでの展示の準備ができます。

2015年7月10日 (金)

夏のコーオプ実習トライアル

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こんにちは、コーオプセンター長の笹岡(コーオプ教育担当)です。

7月6日(月)、8日(水)、9日(木)と三日間、昼休みを使って、今夏のコーオプ実習のトライアル(試行)の学生募集を行う説明会を開催しました。工学部以外の八王子キャンパスの2,3年生が対象でした。コーオプ実習の期間は学生と企業が合意した8月5日から9月17日までの間の一定の期間(実働5日以上)です。実働5日以上としているのはインターンシップの単位が1単位あげられるからです。一昨年春休み以降これまで5回、延べ65名の学生がこのトライアルに参加し、希望した学生50名全員に成績を付けて単位をあげました。

それにしても驚きは説明会への参加者の数です。実は一昨年の冬にも同趣旨の説明会を行いましたが、参加者はたった5名でしたが、今回は三日間で計300名以上が参加し、その内100名以上が実際にトライアルに参加したいと手を挙げたのでマッチング面談することになりました。今夏の受入可能企業は十数社で、受入枠は大凡20名程度を想定していますから、意欲の高い学生の方々には申し訳なかったのですが、今夏のコーオプ実習のトライアルは非常に狭き門となってしまいました。一方、それだけ選りすぐられた学生が企業に派遣されますので、行かれた皆さんは、さぞ素晴らしい成果を出して大学に戻られると期待しています。

このようなことになったのは、今年から就活のスケジュールとシステムが変わり、就活でインターンシップの経験が重視されるようになったからのようです。それを受けて、大学からも学生の皆さんに出来るだけインターンシップに行くように勧められていますので、そのことが多分に影響していると思われます。特に、コーオプ実習は本学独自の取組であり、他大学の学生はほとんど経験できませんので、就活面接で面接官から必ず聞かれる「大学でどんなことをしたか」と尋ねられえた際の鉄板ネタ(他大学の学生が真似できない)として使えることは請け合いです。

こんな具合でコーオプ実習は世の中ですごい追い風に乗っているなぁと実感した次第です。でも、工学部の学生は後期から始まるコーオプ演習Ⅰ(グループワーク)、コーオプ企業論、その後のコーオプ演習Ⅱ(就業マナー、企業とのマッチング)さえ合格していれば、おそらく全員がコーオプ実習に行けますので、その鉄板ネタを労せず手にすることが出来る訳です。

コーオプ実習のある工学部の学生って、ひょっとしてお得?・・・と思うのは私だけでしょうか

2015年7月 9日 (木)

電動台車(No.8 展示完了→再び長い道のりへ)

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こんにちは、電気電子工学科の天野です。

6月のオープンキャンパスではトラブルをなんとか乗り越え、無事に展示を行うことができました。

約50名の高校生の皆さんに試乗してもらいました。電気電子の分野とは何か、ということを事例を通じて総合的に理解してもらえていれば幸いです。

P_20150621_112104

今回はKinectを用いた簡易的な自動ブレーキシステムを実現していましたが、トラブル対策で時間をとられたため、細かいところでその部分では完成度が今一つでした。現在、次回OC(7/19)に向けたアップデートを検討中です。

次のオープンキャンパスでは研究室のある建物での展示となるので、長い道をまた戻らないといけません。雨が続いていて、未だに戻れずにいます...。

2015年7月 7日 (火)

仕事で大切なこと、ほうれんそうのポイント

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こんにちは、コーオプセンター長の笹岡(工学部コーオプ教育担当)です。

前回のブログで仕事では「報連相」が大切と書きました。これまでの試行で一度コーオプ実習予定者に以下のような一斉メールを書いておりました。「報連相」の要点として丁度良いと思いましたので、引用します。

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これから書く内容は企業で実習する本学学生に最低限の社会人基礎力として心得ていてほしいことです。いわゆる「報連相」に関するポイントですので、今後の企業実習ではぜひ実践してください。

1.報告:【報告する相手にとって重要のことから先に報告する】

ここで言いたいのは、報告する内容の優先順位です。
物語は「起承転結」と言いますが、一般的には何が一番大事でしょうか?普通は【結(論)】です。従って、一般的には【結】から報告するのが正解です。ただ、実際の場面ではケースバイケースです。必ずしも結論が重要とは限りませんが、要は【報告する相手(くれぐれも自分ではないことに注意!してください)にとって重要のことから先に報告する】ことがポイントです。
従って、何かを誰かに報告する時は「報告する相手にとって何が重要かを考え、重要なことから優先して報告すること」を心がける様にお願いします。

2.連絡:【大事な要件は伝えるべき相手に確実に伝える】

連絡での要点は非常に当たり前のことです。【伝えるべき相手に確実に伝える】ことです。
例えば、これは実際にコーオプ実習生が経験したことですが、出勤の前日深夜に急にインフルエンザで熱が出て翌日の出勤が困難となりました。皆さんはどうするでしょうか。通常、深夜に会社に電話しても相手は帰宅していていませんよね。通常メールは使えます。まずはメールをして明日休まざるを得ないことを伝えます。でもこれでは50点です。その相手が朝一番でそのメールを見てくれるとは限りません。確実に伝えるためにはメールは当然としても、やはり当日朝、本人が会社に電話をして相手(例えば実習指導者)に直接連絡することで連絡は確実になります。その実習生には事前に口頭でこの報連相のポイントをレクチャーしていたので偶然本件は事無きを得ました。
皆さんも、当たり前のことですが、是非【大事な要件は伝えるべき相手に確実に伝える】ことを心がけてください。

3.相談
①単純なこと:【一度教えてもらったらメモするなど1回で確実に覚えること】

例えば用語で「LCA」(ライフ・サイクル・アナリシス)など社内で使われている略号など単純なことは【一度教えてもらったらメモするなど1回で確実に覚えること】を心がけてください。
よく最初に「君たちは初心者だからわからないことは何でも聞いてくれ」と言って頂けますが、「くれぐれも真に受けないように!」単純なことを何回も訊かれれば誰でもうんざりしますよね。

②複雑なことや難しいこと:【焦点を絞って相談する】業務を任され作業をしていると当然途中で上手くいかない時があり実習指導者に相談する必要が出てきますよね。その時貴方はどのように相談をしますか?単に「できませんでした」、「これわかりません」と言いますか?大事なのは、貴方が「どこまで考えて、どこが分からないのか」、相談内容を焦点を絞って的確に相談できることです。さもなければ相談を受けた方も相談者がどこまで分かっているか判断できませんから、どこから相談にのったらいいか、何から説明したらいいか、がわかりませんよね。そうなると相談にのっている時間が無駄に長くなるだけで、それは相談ではなく迷惑行為となり兼ねません。
複雑なことや難しいことを相談する時は、自分がどこまで考えて、どこまでやったか、しっかり説明(無為に過ごしていたわけではないとの自己アピールも兼ねます)して【焦点を絞って相談する】ように是非心がけてください。
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という具合です。

これまで書いた通りに「報連相」すれば、皆さん、どこの企業に行ってもまず間違いなく無事に勤められます。
前回ブログでも書きましたが、逆に、この「報連相」で失敗して出世を棒に振ったサラリーマン、世の中にかなり多いと思いますよ、ホントに・・・(^_^;)
でもこれってコーオプ実習に限らず、今後の大学生活でもかなり有用なことかもしれませんね。
私は工学部の皆さんが、「報連相」をしっかりコーオプ実習で実行すれば、必ずや自信に満ちて一皮むけて戻って来ると確信しています。

2015年7月 4日 (土)

コーオプ実習、そして仕事で大切なこと

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こんにちは、コーオプセンター長の笹岡(工学部コーオプ教育担当)です。

本日は、コーオプ実習(試行)を経験した先輩方の実際の声とそこからわかるコーオプ実習で大事なことをお伝えしたいと思います。

前々回のブログでは実際にコーオプ実習が試行として行われたことに触れましたね。実は、私が着任してからは50名の学生をコーオプ実習の試行に送り出し、実習終了後原則全ての先輩学生と面談をしました。

それによれば、まず会社で働くということはどういうことか、即ち、個人ではなく、周りの方々と協調してチームで成果を出すということが如何に大事か理解できたことのようでした。

例えばある学生は、小さな会社だったので社内会議に出させてもらったそうです。そこでは、当たり前ですが、仕事には納期というものがあり、それに合わせて仕事のタスクがそれぞれの部署に割り与えられ、節目節目でチェックされ、納期までに製品が納められるプロセス全般をりかいできたとのことでした。まさに、マネイジメントそのものの現場を見れたことに感動していました。

また、事前面談では伏し目がちで如何にもコミュニケーションが苦手だった方が、コーオプ実習に行って最初に言われたことが、「まず人の目を見て話せ」だったそうです。確かに、その方が企業の就職面談に行ったとして、面談者の目を見ないでてしゃべっていたら、絶対採用されないでしょう。それを聴いて、逆に、もしこの方がコーオプ実習に行っていなかったら果たして就職できるだろうか・・・とつい考えしまうとぞっとしました。

このような先輩方の感想を聴いて、私は組織で仕事をする場合、つまりコーオプ実習はつくづく「報連相」【報告、連絡、相談】(ほうれんそう)が基本であり、それが非常に大事だなあと思った次第です。というのも、私もこれまで30年以上にわたり経済産業省(典型的な組織)で仕事をしてきましたが、組織内での仕事は「報連相」がその9割くらいを占めているというのが実感です。逆に、それが出来ずに出世を棒に振った方が如何に多いか?という気がするくらいです。このようなことから、私は工学部の方々皆が「報連相」をしっかり行えるようになってくれれば、コーオプ実習に限らず、実際に社会に出てからも素晴らしい社会人としてどのような職場で活躍できると信じています。

というわけで、次回以降のブログでは、その「報連相」の要点、触りだけでも述べたいと思っています。

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