古くて新しいアナログ技術(その2)
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こんにちは、電気電子工学科の新海です。
前回に続き、アナログ回路技術のお話です。
先日、電機メーカーの方とお話をしている時、社内のアナログ回路技術者が足りなくて困っているという話題が出ました。外注業者を使わざるを得ないので、アナログ回路設計が開発期間のネックになっている、とのことでした。大手の電機メーカーでもどこも似通った状況のようです。
1980年代からデジタル回路技術が爆発的に広がりました。あらゆるところでデジタルの集積回路が使われました。デジタルであるからこそ、膨大な集積回路の設計が可能になり、デジタル回路技術者も大量に養成され、アナログ回路技術者は減少しました。
しかし、最近は新たなアナログ回路技術の需要が急拡大しているようです。
理由は大きく2つあります。一つは、前回お話した半導体のスイッチング速度がどんどん上がり、伝送速度が大きくなっていること。最先端の性能を引き出すにはアナログ技術の知識も必要になってきました。
もう一つは、センサと無線を使ったセンサネットワークの需要が急増していること。スマートコミュニティなどのインフラ、医療機器、スマートホンなどの成長分野で特に増えています。センサは自然界とのインターフェースですから、必ずアナログ回路技術が必要になります。
アナログ回路技術を理解するには、電気回路や電磁気学、半導体物性など幅広い知識と、経験の積み重ねが必要です。一人前になるには長い時間が必要です。
比較的差別化しやすく、技術のコモディティ化を防ぎ、日本の技術力を発揮できる分野とも思います。できるだけ短期間で戦力になるエンジニアを養成するという視点も大事かもしれません。
いずれにしても、これからはアナログもデジタルも、そしてソフトウェアもわかるエンジニアが必要なのでしょう。
力をつければ、自分の腕一本で、一生涯フリーランスの技術者として稼いでいくことも可能になるかもしれません。
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