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2015年5月

2015年5月29日 (金)

古くて新しいアナログ技術

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こんにちは、新海です。

先日、ある計測器メーカーの方が、最新の測定器をもって話をしに来てくださいました。

GaNという新しい材料のパワーデバイスのスイッチング(ON/OFF)の測定デモを見せてくれました。なんと数ナノ秒の高速スイッチングです。従来のSiを使ったパワーデバイスとは桁違いです。

スイッチング速度が上がるとエネルギー損失が減るのでよいのですが、その際に高い周波数のノイズがたくさん発生するので、しっかり測定をして把握する必要があります。

しかし、ここまで速い現象になると、うまく測定できる装置や腕を持った技術者・研究者も少ないようです。うまく測るには電磁気学や回路理論の知識を総動員し、特にアナログ回路の経験がものを言います。

昔から、高周波や高電圧の技術分野では、アナログ的な難しい測定技術の腕をもった人たちがいました。あくまでそれは限られた分野の話でした。しかし、半導体の世界では一気に裾野が広がります。使われる場所や量が桁違いです。今後こういった技術をもった人の需要が高まるのでしょう。

ここ30年でデジタル回路技術は急成長してきましたが、ここへ来て再びアナログ回路技術の必要性が高まっています。みなさんもアナログ回路に挑戦してみませんか? 
半田コテを片手に持って。。。

2015年5月22日 (金)

パワーエレクトロニクスを中心とした電気エネルギー応用の研究を担当します

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こんにちは、4月から電気電子工学科に着任しました高木です。

大学の印象や、研究内容、そして趣味について紹介します。

まず。大学に来て良かったと思うのはキャンパスの環境。タイル壁やガラス張りの校舎が並び、研究室の裏では鳥がさえずり、とても快適です。
逆に辛いのは朝の通勤。通勤時間が長くなったのと、町田駅から橋本駅までの横浜線の混雑はいまだに憂鬱です。

研究分野のパワーエレクトロニクス(略してパワエレ)というのは、電気エネルギー(パワー)を電子回路(エレクトロニクス)で制御し、モータを動かしたり、電気を作り出したりする技術です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、周囲はパワエレ製品で溢れています。
最も身近にあるのは洗濯機です。洗剤を入れて洗う時、洗濯槽はある方向に何回も廻り、そして停止し、次には逆方向に回ります。脱水では、回転数を徐々に上げ、一挙に停止します。モータが洗濯槽を自由自在に動かしています。同様に、エレベータ、電車、電気自動車などでもパワエレは大活躍しています。
また、単にモータを制御するだけでなく省エネにも貢献し、家庭エアコンの消費電力を、1995に比べて40%も削減しています。

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今、パワエレ分野には新しい技術の波が押し寄せています。
1つは新しい材料の電子部品の出現です。これまで主流のSi材料に対し、GaNSiCといった材料の電子部品が製品化されています。省エネ効果が大きく、装置を格段に小型化できます。
もう1つは、パソコンなどで使われる演算素子の性能が向上したことで、より高精度なモータ制御ができるようになったことです。研究環境を立ち上げ、GaNSiC部品を使ったパワエレ回路、複雑なモータの制御について研究していきます。

最後に趣味について。
大学の頃にやっていたテニスを10年程前から再開しました。今では、最低でも月に1回はやっています。
時間とお金をかけているのが、日本百名山。作家の深田久弥さんが300百の山から選んだ日本百名山は、北は知床の羅臼岳から、南は屋久島の宮之浦岳にまで広がっています。
昨年の夏、北海道の幌尻岳に登り、87座まで終わりました。

着任したばかりなので分からないことも多く、皆さんの協力を得ながら、パワエレの研究を進めていきたいと思います。よろしく、お願いします。

2015年5月20日 (水)

他大学との勉強会

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こんにちは、電気電子工学科の黒川です。

先週の土曜日は学会などで知り合った他大学のいくつかの研究室との勉強会に参加してきました。

先生と学生で150名近い参加者になるかなり大きな勉強会なのですが、私も研究室のみんなと一緒に埼玉県の某大学まで行ってきました。

今年は2回目の開催でしたが、普段会うことの無い学生といろいろ情報交換が出来て良い刺激になってます。


写真はうちの研究室の学生の発表の様子です。

1分プレゼンの後、ポスター発表でいろんな先生や学生とお話して今後の研究に役立てます。

朝から勉強した後は恒例の打ち上げで、朝から晩まで充実した日になりました。

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2015年5月15日 (金)

コージェネってなに?

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こんにちは、電気電子工学科の新海です。

コージェネって聞いたことありますか? 発電の時に発生する熱を捨てずに無駄なく利用しようというシステム(co-generation system)です。

東京工科大学には大規模なコージェネがあります。 八王子キャンパスの半分程度(一般家庭1000軒分!)の電力を供給できるガスエンジン式の発電機を電力会社の系統と連携し、その発電機の排熱を利用しキャンパスの大部分の冷暖房をまかなうシステムです。このシステムは、私がここに来るはるか昔、1986年に導入されました。大変に先進的な試みだったはずです。

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さて、コージェネの意義について考えてみましょう。

この大学に導入された当時は、エネルギーコストを低減することが目的でした。大学や工場のような大口需要家の場合、電力会社から大量の電力を買うよりも、コージェネで電気と熱を作ってしまった方が安い場合があるということになります。

その後、1993年に温室効果ガスの排出削減を決めた京都議定書が国際的に採択されました。コージェネのエネルギー利用効率を上げることでCO2ガス排出を削減することも重要になりました。

そして、2011年の東日本大震災直後の電力不足。輪番停電の際、東京工科大学はコージェネのおかげで機能停止しませんでした。この頃からコージェネは、災害につよい分散電源としても見直されるようになりました。

さて、今後、コージェネはどこへ向かうのでしょうか?

東京工科大学のコージェネは中央制御室でこまめに運転制御し出力調整されています。電力会社から供給される電力をベースと見て、特に夏冬のエアコン需要を中心にコージェネで対応しています。キャンパス内で、エネルギーベストミクス(最適な電源構成)が実現されているわけです。

この供給調整能力にはさらに大きな期待ができます。太陽光発電や風力発電など、天候に影響される再生可能エネルギーの出力変動をコージェネでカバーすることができるはずです。将来の電力システムの重要な存在になりそうです。

東京工科大学のコージェネは昨年新しいシステムに生まれ変わりました。今後さらに進化していきます。

2015年5月 8日 (金)

フリップボードを作ってみた

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こんにちは、電気電子工学科の天野です。

講義用にフリップボードを作って、使ってみました。

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暗号化の基礎的なところを説明するため、学生に送信元、配送、送信先などの役割を決めて参加してもらいました。その中で他の学生に暗号化・復号化した文字列を一斉に見せるために、フリップを使ってみました。

メディア学部からの移籍とはいえ、フリップボードを作ったことはなかったので、作り方をwebで検索しました。それを参考?にして、百均ショップでボードとスプレー糊を買ってきて作りました。検索と実践の関係性を示す事例になる...ほどのことではないですが、作るのは楽しかったです。

実際の授業で試した結果から、もっと大きなパネル(今回はA3)&ペンを太くしないとならないようです。

それから学生の手元での作業が他の学生には見えないので、参加していないその他大勢の学生には十分に伝わらなかったかもしれません。このあたりは演劇に通じるものがあるように思いますが、見えるように即興で大きな身振りで、というのは学生は俳優ではありませんし、内容的にも適さないところがあります。

このあたりは、中継画面をプロジェクターで表示するといった解決が必要なようです。

さて、受講した皆さんには暗号化の原理を理解してもらえたでしょうか? 期末試験が楽しみです。

2015年5月 1日 (金)

ネパールの電力事情

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電気電子工学科の新海です。

ネパール大地震から5日目、15歳の少年が救出されました。よかったですね。

命を落とされた多くの方々のご冥福をお祈りします。

 

まずは人命優先ですが、電力などの社会インフラがどの程度ダメージを受けているかも気になるところです。

 

18年くらい前にネパールに行ったことがあります。夕食に行こうとホテルから町にでるとあたり一面真っ暗でびっくりしました。毎日、朝と夜、停電するとのことでした。外国人の泊まるホテルは小さなディーゼル発電機で照明だけはなんとか維持しているようでした。日本でも東日本大震災の後、東京電力の計画停電の時期がありましたが、ネパールでは日常的に電力が不足し、毎日計画停電が行われていました。この状況は18年たった今もあまり変わっていないようです。

 

ネパールの電力は9割以上を水力発電でまかなわれています。グリーン(再生可能)エネルギー比率が大変高い国です。ヒマラヤ山脈を背後に控え豊富な水資源がある国です。しかし、必ずしもネパール国民が望んだ結果ではないと思います。非常に貧しい国です。火力や原子力の燃料を輸入したり、設備を維持することが難しいんです。日本のODA(政府開発援助)などでも水力発電所を建設していますが、まだまだ足りないようです。

 

しかし、ネパールの商業ベースで可能な水力発電量は5300kWとのデータがあります。(東京電力の発電量に匹敵します)。それに対し2010年での発電量はわずか50kWです。99%が未開発ということです。電源開発が進み、隣接する工業大国インドに電力を送ることができれば、ネパールの人達の大きな力になるのではないでしょうか。時代がネパールの人達に追いついてきたということでしょうか。むろん、水力はグリーンエネルギーといっても、その開発は自然環境を損なう面もあり、注意は必要ですが。

 

こんなところでも、日本のサステイナブル技術がイニシアティブを取れるといいですね。

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